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ほのぼのしたい異世界生活のススメ  作者: 伊佐若 早葉
目指せ、ギルドでそれなりのランクでそれなりの生活
24/30

卑怯? それは褒め言葉でしかないZE☆

 結果、何が起こったのかと言えば。


「うっひょおおおおおうっめえええええ! こんな透明なのによぉ、どーしてなかなか超うめぇじゃねぇか!」

「アンタやるねぇ! この柑橘系の爽やかさが口の中の油をサーッと消してくれるのに、肉の旨み自体は消えるどころか増してるじゃないか! こんな簡単に出来るのに旨いだなんて…コレはうちの宿の目玉になるよ!」




 完全勝利ですわ。敗北を知りたい……!




「ありがとうございます。でも流石に肉だけじゃ栄養の偏りも味の飽きもよろしくないので、少し手間ではありますけど、奥様にはある程度野菜もカットしてセットで提供してもらわなければならないかと思います。例えば……このオニオを1センチの厚さで輪切りにしたり、パンプキを5ミリぐらいの薄切りにしたり、ピーマやパプリを4つ切りやキャベをざく切りにしたり」


 …この何とも言えない物足りなさ満載のカタカナは、大体察してると思うけど定番の野菜です。オニオは玉ねぎ、パンプキはかぼちゃ、ピーマとパプリはピーマンとパプリカ。キャベは言わずもがな…。

 ほぼ全ての野菜がこんな感じの、奥歯に物が詰まったような心持ちになるネーミングなのだそうな。いやーキツいっす…。


「まぁでも冒険者メインですし、野菜は別売りのオプションって形で提供してもいいかと思います。肉だけで満足する人はするでしょうし、焼き野菜に興味を持って食べてくれる人もいるかもしれませんし。あとはこの辺のお店を見て回らないとハッキリ言えませんけど、もう一種類タレが作れれば、もっと美味しく食べられるかと思いますんで」

「な…なんだって?! このタレってぇのは…これ以外にもあるってのか?!」

「……いやはや驚いた。アンタはこの塩ダレってのだけでも十分うちの宿屋に革新を起こそうとしてるのに、まだタレに種類があるのかい? しかも塩ダレに至っちゃとんでもない低コスト……凄いねぇ」


 まぁ今回のコレは、肉の質がずば抜けて高いのが幸いしたといっても過言では無さ過ぎる。コレで肉もダメだったらもう救いようが無かったゾ~。

 あとは実際に宿屋で出してみて、経過観察しつつ市場調査して通常のタレが作れないかどうか確認……宿に泊まって何してんだかって話だけど、逆にそれなりに料理が出来る人材じゃなくてよかったわ…。個人的に深い料理知識を晒すと、無駄に革新が起こってめんどくさい事になりそうだしな。ゴタゴタに巻き込まれるのは大体の物語でテンプレ…………ハッ?!




「……いや待て、たかが焼肉程度でそんな……」

「あなたって本当、楽しそうな表情したりやらかしたみたいな表情したり、百面相ってヤツなのかしら…?」


 あーもーめんどくせぇ。もうテンプレは起こった端から叩き潰す方が面倒が無くて良さそうな気すらしてきたわ…。


 力こそパワー、先人は良い言葉を残したもんだ…!





- - - - - - - - - -





~数日後~



「おうおうテメェかぁ? うちの上客全部掻っ攫いやがったあの宿の助っ人ってのはよぉ? アァン?」

「うちも客根こそぎ取られて不満溜まっちゃってんだよなぁ…!」

「あんな狭い区画に匂い撒き散らしやがってよぉ…ひっでぇ営業妨害があったもんだぜオォン?」

「銅宿のほとんどを敵に回したんだ、謝罪料ぐらいまぁ、多少はね?」


「よし来た、一列に並べ。面倒だから俺が殴って気絶しなかったら謝罪料払ってやるよ。コレだって立派な戦略だ、対策を立てるならまだしもやってもいないのに金寄越せだなんてなめてんじゃねぇぞ…? ちなみに、ここ3日程同じようなヤツが十数人来たけど、全員きっちりお帰りいただいたぞ」




 ダメだわ、俺テンプレという鎖に縛られてる。もう逃れられない!


 という事で、ここ数日焼肉を大フィーチャーして売り出してみた結果、やっぱりというか何というか、冒険者は早い・安い・旨いと三拍子揃った焼肉に惹かれて、全部屋を埋めてなお、食事だけでもと押しかけて大盛況になりまして。

 …やっぱり空腹時に、肉の焼ける匂いってのは暴力的にクるモノがあるよなぁ。おかげで素材屋の仕事が滞るぐらいの忙しさに、良い意味で素材屋夫婦は悲鳴を上げている。そして俺は、元々ただの弱小宿屋だから脅せば金が貰えるだろうと短絡的な考えの銅宿経営者を『俺が殴って気絶しなけりゃ金払ってやるよ、おう上等だろ』という肉体言語で説得させていただいております。


 こっちは精神的に悲鳴を上げそうです。何故かって?


 手加減してもぶん殴ったら一般人が吹き飛ぶからだよ!! おかげで今までの人生でやった事もない微弱なレベルのデコピンを会得しちゃったよ! 何の役に立つんだよココ以外で!


「ハッハッハ!テメェみてぇな軟弱なヤツに殴られても気絶なんぞしnあぶろばぁ!!」

「いいよ! こいよ! ボディに来てボディに…オォン!アオォ……ン……」

「おめぇは俺のおもちゃでいいんだよ上等……ンアッー!」





 きたねぇ断末魔だなぁ…。



「ちくしょう、銅宿でも腕っ節の強いヤツ集めてきたってのに…! 最近ギルドに登録したばっかのペーペー冒険者だって聞いてたのに! 何なんだよテメェ、卑怯だぞ! 汚ねぇぞ!」


 そんな裏事情を漏らすのは、一番最初に俺から金を脅し取ろうとしたアホである。


「卑怯? 汚い? それは褒め言葉だな。 そして……それは敗者が吐き捨てる言葉なの。俺が勝った、お前が負けた。俺が努力した、お前はそれ以上をしなかった。その結果がコレだ。そんなお前に一言」


 俺のこの指が真っ赤に燃えるぅ! デコをピンしろと轟き叫ぶぅ!


「何だってんだよぉ!」


 ばぁくねつぅ!




「おめぇも頑張んだよ!」







 デコ☆ピン!




 効果:相手は飛ぶ。いろんな意味で。

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