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夜爪を切る、足元を黒猫が横切る、目の前に死体が横たわる。  作者: マンモスうれピー奈


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10/10

「高千穂・ガールズバウト」#4

マンモスうれピー奈と申します!

学業との両立を目指し『毎日投稿』を目標に掲げているので、応援の程よろしくお願いします〜〜!


※本作はカクヨム様にも重複投稿しております。

「そういえば今日学校で嫌《や》なことあってぇ、聞いてくれます? あたしの隣に恰幅《かっぷく》のいい子が座ってるんですけど、英語の時間に、いきなり横からプッて音がして!

 あたしはすぐ隣の子だなって気づいたんですけど、クラスの子達はあたしとあたしの隣の席を交互に見てきたんですよ、ひどくないですかぁあたしじゃないのに。クロお姉さんもそう思いません?」

「……そうだね」

「ですよねぇ! でも授業中だから、『アイドントノー!』なんて言えないじゃないですか。

 大体、あたしじゃないって見たら分かりません? 口からファブリーズが出てるような美少女ですよ?

 隣の子は年がら年中シーブリーズ使ってるような子でぇ、一目瞭然じゃないですかぁ」

「私はシーブリーズの匂いも好きだけどね。キャップ交換したのとか思い出すし」

「えー? まぁいいですけど。でも掃除機のお尻から出る生温かい風ってなんだか臭そうじゃないです?

 対してあたしって可愛くてぇ、存在がもう空気洗浄器じゃないですかぁ。クロお姉さんもそう思いますよね?」

「……うん、そう思うよ」

 いつの間にか、高千穂ちゃんにすごく懐かれていた。

 話をうんうんと聞いていただけなのに、おかしいな。

 彼女は事あるごとに「可愛い」「美少女」というワードを話に組み込んでいた。確かに学年で一、二を争えるような美少女だと私も思うけど。

 ぶかぶかのパーカにゆるい巻き髪と、土に塗《まみ》れていたのが想像できないほどに可憐な容姿をしている。

 私も妹も自らを可愛いと自負していたけど流石にここまでじゃなかったぞ。やっぱり自己肯定感を高めるには生育環境が大切なのかな。


 すると気づかぬうちに学校の話は終わったようで、「そういえばクロお姉さんってこの辺の方言じゃないですよね。北海道?」と質問される。なぜ北海道?

「そうだよ、大学に進学するためにこっちに越してきた。北海道ではないけど」

「えー! じゃあ一人暮らしってことですよね、すごーいっ今度家行ってもいいですか? というかこの辺に住んでるってことはあそこの女子大の学生さん? あたし志望してるんですよぉ、大学のお話とか色々聞きたいなー。あっでも出身は北海道じゃないんですね、残念」

 多い多い情報量が多い! えーっと何から話を収束させよう。

「うん、そこの女子大に在籍してて、今は一人暮らし。来るのはいいけど……面白いものはないと思うよ。それと、なんで北海道?」

 私の日本語って自覚ないだけで訛ってるのかな。だとすれば猫語?

「だって北海道にはヒグマがいるじゃないですか! あたし、一度戦ってみたいんですよねぇヒグマ。それに北海道といえばぁ」

 また長くなるのかな、その話。

「あー、ごめん高千穂ちゃん。そろそろ帰って晩ご飯の支度しなきゃ」

 ほらあれ、とすっかり忘れ去られたレジ袋を指差して高千穂ちゃんの話を遮る。

 かれこれ一時間近くこうしていた為、中身が痛んでないか気になりだす頃合いだった。

「あっ、そうですよね……」

 露骨にしょんぼりと悲しそうな顔をする高千穂ちゃん。しかしすぐに気を取り直して、「最後に、連絡先だけ交換してもらってもいいですか?」と殊勝な態度で聞いてきた。

「あたし話せるの家族と部活の子しかいなくって。クロお姉さん話しやすいし、美人だし、あたしのこと心配してくれるし……。できればまたお会いしたいんですけど……」

「うん、もちろんいいよ」

 連絡先は交換しても減るもんじゃないし、と快く承諾する。自由時間は減ったけどさ。

 とはいえこんな明るい時間帯からの犯人探し兼死体探しなんて難航するに決まってるんだけど、っとそういえば私もこの子に聞くことがあるんだった。

 スマホを抱えてやったー! と喜ぶ高千穂ちゃんに、気になったことを質問する。

「ひとつ聞いてもいいかな? 高千穂ちゃんは強くなるために動物と戦っていると言っていたけど、人間とは戦いたいなって思わないの?」

 ほら広義では人間も動物だし。この街の現状を踏まえても、もしそうなら看過できないんだよね。

 しかし高千穂ちゃんは私の疑念を笑い飛ばすように、「えーそんなの思わないですよぉ」ときっぱり否定する。

「だって、動物で一番恐ろしいのって人間じゃないですか。ずるいし、武器使ってくるし」

 うん、まぁ確かにそうかもね。恐らく高千穂ちゃんの中では、強さは熊より人間の方が上位に位置しているのかな。だからといって高千穂ちゃんの容疑を完全に払拭するには至らないけど。


 その後は別れを惜しむ高千穂ちゃんに手を振って、なんとか帰路へと道を正した。

 高千穂ちゃんから別れ際に発せられた、「あと傷の手当てもありがとうございました!」という言葉から察するに、治療よりも会話の方が有意義だったと思っているのかも。

 これまでのやり取りを顧《かえり》みれば、最初はあんなにツンツンしてたのに随分と気に入られちゃったな。


 ……私は年上派で年下は恋愛対象に含まれないのだけど、流石にそれは自惚れが過ぎるよね。


最後まで読んでいただきありがとうございます✨


4話にかけて綴ってきた高千穂ちゃん編は、これで以上になります〜!

次回から夜の街に戻ります!


これからの展開に興味を持ってくれた方は、ブックマークや⭐️など応援していただけると嬉しいですっ!


※次の更新は、『11/5 19:00&19:10』を予定しております。

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