渋谷を歩きながら
今日も渋谷は人だらけだ。
家電量販店へ向かい、テレビを見上げる。
鈴木真美——
そろそろ出る。
俺のお気に入りのニュースキャスターで——
……可愛い。
肩までのやわらかい黒髪が顔をきれいに縁取り、
優しく丸い目に、落ち着いた表情。
それに——いい話題を扱う。
……だから目をつけられた。
イルミナティに。
奴らは彼女を消そうとしている——
本人は知らない。
……
だが——
俺には“勘”がある。
だから——
あの三角頭の暗殺者は、
全部止めてきた。
「こんにちは、鈴木真美です。
昨日の報道に続き、政府は宇宙人やUFOに関する機密文書を、いまだ公開していません。
なぜ公開されないのでしょうか。
そこには一体、何が記されているのでしょうか。
地球に宇宙人が接触していたのか——
多くの市民が、真実を知りたがっています。」
周りを見渡す。
あちこちで——
人々が小声で話している。
宇宙人のことを——。
……フッ。
ああ——来たな。
これだ。
真美ちゃんのおかげで——
人々が目を覚まし始めている。
この世界で起きていることに——。
——
……!!
待て——
今のは……
真美ちゃんの背後の壁——
蒸気ローラーが突っ込んできたのか!?
「そんな作り話、誰が信じるか!どけ!!」
蒸気ローラーから——
異様な巨体が飛び出した。
長い赤髭。
王を気取るローブ。
頭には——意味不明な世界地図の冠。
——そのまま。
真美ちゃんの椅子を蹴り飛ばす。
中継中にも関わらず——
彼女の体勢は大きく崩れた。
「鈴木さんー!!」
カメラマンが駆け寄る——
——が、その背後から——
ガシャーン!!
頭をシンバルに挟まれる。
「さあ——本当のニュースの時間だ」
王はカメラに見せつけるようにローブの裾を整えた。
すでに背後では、部下たちがニュース局を制圧していた。
「丸き地球を信じる愚かな民よ、聞け!」
「我こそはフラットアース王二世である!」
「長きにわたり——
貴様らは我らの真実、
地球が平らだという事実を嘲笑ってきた!」
「だが今のうちに笑っておくがいい——!」
「やがて我らはこの大地に穴を掘り、
貴様らの足元に隠された真実を暴いてみせよう!」
「フハハハハハハ!!」
その瞬間——
一人の部下が勢いよくカメラの前に飛び出す。
青いジャンプスーツ。
頭には平らな板のようなヘルメット。
そして掲げるプラカードには——
「フラットアース団 新メンバー募集」
放送を見ていた人々が、ニュース局の異変に騒ぎ始めた。
「イカれた奴らが……
ニュース局を乗っ取った」
「宇宙人だの、フラットアースだの、
ワクチンの副作用だの……
ああいう陰謀論って全部同じだろ」
「だよな」
……クソ。
この放送を見てるみんな——
俺みたいなのまで一緒くたにし始めてる。
ちっ…
あの野郎ども俺は止めに行く
それに——
真美ちゃんを怖がらせたツケ、払わせてやる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。




