プロローグ
こんなこと、話すのをためらったことはないか?
政治の腐敗。
宇宙人の存在。
ワクチンの副作用。
信じてないからじゃない。
――「陰謀論者」ってレッテルを貼られるのが怖いからだ。
あの言葉は便利だ。
相手を“頭のおかしいバカ”みたいに見せて、
中身を聞く前に切り捨てるための言葉だからな。
……まあ、実際、バカみたいな説もあるけど。
とにかく――
少しだけ、俺の話を聞いてくれ。
「俺は孤児院を襲った“ヒト型爬虫類”の襲撃で、唯一の生き残りだ。
そのあと宇宙人に誘拐されて、手術されそうになったが……なんとか逃げ出した。
さらにその後は――秘密結社、イルミナティ。」
「……。」
向かいに座っているヒロイン――
この居酒屋に俺が誘ったソーラーレイは、完全に固まっていた。
あの目だ。
11歳のとき、精神科に連れていかれたときと同じ目だ。
……話題、変えたほうがよさそうだな。
俺は手を上げて、店員を呼んだ。
「ご注文は?」
「水で」
「じゃあ私は、ジントニック!」
店員が思ったより早く飲み物を運んできた……。
この水、本当に安全か?
……一応、確認しておくか。
「えっ、軍用水筒? なんで?」
「水道水は信用してない。
これは化学物質を中和するための添加剤が入ってるんだ」
ソーラーレイの赤と黄色の毛先がふわっと逆立ち、
その頭は名前どおり、まるで太陽みたいに広がった。
――必死に笑いをこらえている。
……少しくらい変わったことを信じてたっていいだろ。
誰だって、一つくらいは信じてるものがあるさ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。




