第2章11話
「その通りです。これ以上死者を増やして世界の歪みを起こせば何が起こるか分かりません。」
部屋の中には男性しか居なかったのに。
俺の後ろから聞こえたのは凛とした女性の声だった。
「君は?エルフ族と見るが。」
俺は1歩前に出て紹介する事になる。
「彼女は、エルフの里の長。カルナだ。クロウの治療の為に連絡を入れてもらっていたが、こんなに早く来てくれるとは思わなかった。」
「ほう、彼女がかの有名なエルフの長か。因みにこの部屋に現れた方法はお聞きしてもよろしかったか?」
「ええ。もちろん扱えるとは思えませんが。勇者マサキ様は転移魔術や空間移動と仰ってました。」
これはやばい事ぶっ込んできたと思ったけど。1つ不思議な事がある。それは……
「何かしらの条件固定。多分魔力か?」
俺は身に覚えのある事があったのでカルナに聞いてみる。
「流石ですね、その通りです。今はアロウ様にのみ魔力が紐付けしてないですからね。」
やはり、治癒を受けた時に残ってた魔力を追って転移してきたんだろうな。
カノン伯爵はおもむろに立ち上がり
「意見を聞きたい。賢者ローデン様はどう考える?」
爺さんは賢者だったらしい。まぁ、何となく納得出来た。
「ふむ、無理じゃな。今の魔術の理論とは根底が違いすぎる。そもそもそちらのカルナ嬢の様に魔力を体内に残す事が出来ん。」
「俺は、カルナに神級治癒魔術を掛けて貰ったから尚更残ってたんだろう?」
「はい!そういう事です。それで?私に治療して欲しい方と言うのは?どちらにいらっしゃるのでしょうか。」
ケロッと表情をしたカルナが言うが俺が引っかかってる部分があるのでまだ連れては行けない。
「カルナその前に最初に言っていた事については聞いても良いか?歪みが何とかとか。」
あ、っと忘れてたみたいな表情をするカルナ。
「かしこまりました。世界には均衡というものがあります。魂の総量も決まっています。そして神は全ての生物、種族を愛しております。
だからこそ均衡が崩れる事を嫌います。偶発的に魔王が発生した場合は勇者マサキ様を召喚するという事をお伝えになりました。
しかし、このまま人族の争いが広がり他の種族も巻き込む様ならいつ、魔王が出現してもおかしくないのです。そうすれば争いはなくなりまとまりますからね。」
それを聞いて俺は天を見上げた。
「極端過ぎるだろ神様とやらは。この世界を発展させる気があんのか?」
最早、笑うしか無かった。
「それはどういう意味だ?」
すかさずカノン伯爵が俺に聞いてくる。
「ある程度、争いや競争がなければ魔術も発展しないだろう?例えば生活を豊かにする魔術とかね。色んな文化が混ざる事によって料理も発展する様になるだろ?」
髭を撫でて。
「魔術の発展かのぉ。戦闘以外に使う事を考え出なかったのぉ。」
賢者ローデンがそう言う。
そんな話を聞いたカノン伯爵は
「今回の話し合いは有意義になった。兵士達には希望者は受け入れようと思うが。抵抗をした場合は処断する。それと今回協力して貰った冒険者達には全員に報酬を与えよう。死亡した者がいた場合はグレン君報告を頼む。家族が居れば最大限の配慮をしたいと思う。エミール嬢とクロウ君についてはもう少しかかると思う。治療の件が落ち着いたらまた話し合いを持とう。今回はシルム君、アロウ君カルナ嬢には感謝する」
そう言うと話し合いは、終わりを告げた。
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