第2章1話
クロウ視点です。
私は戦争が嫌いだ。
貴族としての義務だとしても。
領民の事や民の事を考える筈の立場なのに、今他国とはいえその領民や民を効率的に殺す事ばかりを考えていて。
それを行動に起こせば昨日まで笑いあったり励ましあった者が死んだりする。
しかし私が先頭に立って戦わなければ、皆が死んでしまう。
守る事も出来ない。愛する者も。
この空間、空気、臭い、悲鳴、歓喜、期待、落胆、全てが嫌いだ。
私は何をしているのだろうか。
話し合いでなぜ決めれないのか。
文化や行動、思想が邪魔をするのは分かるがそれを奪い、奪われ。
怨嗟が怨嗟を呼び泥沼化していく。
悲しい想いを雷に乗せ私の心は今日も泣いているのだろう。
「【悲雷光】」
「アトラス様が道を切り拓いたぞ。かかれー!」
怒号が飛び交う。
私は今新国王カイン陛下の勅令により、ラムネル帝国のカノン領迷宮街へと進行している。
予想通りに迷宮街から冒険者を伴う兵士が出てきた。
しかし、予想外に冒険者が強く劣勢だ。
1人は銀髪の獣人の女、剣筋が全く見えず軽々と雷を霧散させている。1人は最近、この街へと戻って来たSランク冒険者色んな魔剣や道具を使い劣勢箇所をたちまち優勢に変えている。
更にもう1人これが厄介だった。
精神干渉系の大規模魔術かスキルを使い兵士の士気を上手く操れないのだ。
こうなる事は最初から分かっていた。
しかし、我々はここで負けてしまえば国に帰れば戦犯として罰せられるのだ。
私は縦横無尽にスキルと剣を駆使して相手を屠っていく。
今日で、戦争が始まり3日が経ったそろそろどう幕引きを立てるか決めなきゃいけない頃合なのだ。
夕日が差し掛かり、3日目も終わろうとしている。
本日4回目のSランク冒険者と対峙する
「なぁ、アンタこんな不毛な戦争やめねぇか?戦力的にギルドが協力している以上勝ち目がねぇだろ。」
こいつはSランク冒険者シルム1日目より降伏勧告をずっとしてきている。
彼は剣と武具を換装して戦い私を抑え込んでいた。
2つ名『眼力』と呼ばれており、由来の通りかなり目が良く先を見通されていると錯覚する程だ。
「今でさえ拮抗しているのにそろそろ奴が帰って来る。そうなったら終わりだぞ?
こちらの主戦力は今俺や、銀髪の嬢ちゃん。低ランクだが素質はピカイチの嬢ちゃん3人共にスキルが有能でも1対1に特化した連中だ。逆にパーティーも1対多が当たり前だからな。」
私は気になったので会話をしてみる事にした。
「奴とは誰だ?」
シルムはため息を着きながら、
「お前さんら敵の戦力調査くらいしとけよ。これが撤退要素になるなら教えてやるよ。名前は知らんが今はBランク昇格試験で街を離れている。
2つ名が2つある『白鬼』と『殲滅者』奴は話を聞く限り多対1を得意とする冒険者だ。ダンジョンの魔物を根こそぎ狩ったって逸話も残る程だ。
そろそろ依頼から帰ってくるんだよ。『殲滅者』が。一気に死体が山積みになるぞ?」
その時退却のドラがなった。
「情報感謝する。」
私はそれだけを伝え【雷化】して本部へ戻る。
そして1番大きい天幕の1つに入る。
「エミール殿下ただ今戻りました。」
エミール殿下は晴れやかな笑顔で出迎えてくれる。
「やはりかなり厳しい様ですね?」
私は苦虫を噛み潰したよう顔になってしまう。
「更に悲報があります。先程例の『眼力』警告が、あり明日にでも『白鬼』や『殲滅者』の2つ名を持つ冒険者が戻ってくる模様です。広範囲殲滅型の冒険者みたいです。」
私は彼女さえ守れれば良いのにな等と思っていると。
エミール殿下は。
「ならどうでしょう。その方が出てこられて無理と判断したら撤退致しましょう。勝ち筋を3人の冒険者に封じられ。その上戦力を1人で覆せる方がこられた場合負けが必須になります。」
「軍法会議でその様に発言致しましょう。」
2人で天幕を出て行くのであった。
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