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04 回避の超越

 一日で、二度も殺され掛けた俺だが、無常にも置いていかれた。

 どうしようもない。

 とにかく誰かを探そう。まとまって帰っているのでは堪らないが、誰か一人は居てくれないか。


 どこに行けば良いんだ。

 駅か、それとも……いや、思いつかない。

 こんな場所でどこに向かうんだ。

 駅しか思いつかないな。

 なら、駅を目指すしかないだろう。


 こういうのは、全国から集まっているのだろう。

 ということは大きな駅に行くべきだろう。


 静まり返った街、ここには一人もいない。

 とりあえず駅へ!!

 

 と、意気込み、走っていた。

 それからすぐに足音がした。

 まだ二百メートルも進んでいなかった気がする。

 住人が落ち着いたことを判断して、外に出てきたこともあり得るが、確認しない訳にはいかない。


「あっ!」 


 そこにはここに来た時に、初めてここで出会った少女であった。

 あの相手からの攻撃を無効化していた彼女。

 彼女も俺を助けてくれた人だな。


 きっとあれも超越の能力。

 つまり彼女も超越者。


「そこの超越者!!」


「ひぇ、……!!」


 彼女は肩をビクッとさせた。


「誰ですか……?」


 もしかして、ビビりか。それも超のつくほどの。

 しゃがんで、頭を守りながらこちらを確認した。

 防災訓練中の小学生みたいな動きをしていてるが、小学生の方がまだ余裕がありそうだ。


「……あぇ!! 生きてたんですね」


「助かったよ、君のおかげで」


「私は何も…… あぇ!? 何で、超越者を知っているんですか?」


 俺は彼女の気の弱いことがすぐに分かる声が動揺しているのがよく分かる。


「超越者じゃないんだよね、君は……」


「そうだけど、……」


 あれ、俺何を言ったら良いんだ。

 超越者を目指して来ただけで、目的は特にないな。


「ごめんなさい、ちょっ、ちょ、ちょっと、私!! 分からないんで!!」


 そう言って、走り出した。


「ま、待って!!」


 俺は逃げ出した彼女の腕を握った。

 しまった、女の子の手を掴んでしまった。

 悪いことをしたとも思った。


 が、掴んでいた腕は、すっぽり抜けた。

 俺が加減を間違えて、逃げられたのではなかった。

 まるで、ヌルヌルの液体を被り、つるっとしたようだった。


 このままでは逃げられる!!

 どうすれば、何をすれば、追いかけても無駄。捕まえても逃げられるんだから。

 なら、俺は声を出すしかない。

 何を言うんだ、俺は何をしたら良いんだ。

 ……あれを言えば良いではないか。


「俺を超越者にしてくれ」


 そうだな、全くの素っ頓狂という訳ではないが何を言っているんだろうか。


 彼女も同じようなことを思っているんだろう。

 だが、彼女が歩みを止めた。

 畳み掛けるなら今だろう。

 何を言うべきだ……


「君が助けてくれたから、俺は助かったんだ。俺は、俺……」


 何を言ったら良いんだ。

 俺は何を言ったら良いんだ。

 告白でもするか、そうしたら上手くいくかもなんて、フィクションの話なら、少しランクを下げよう。


「だから、俺はお前を助けたいんだ!!」


「本当……」


 刺さったか、告白なんていかなかったが、上手くいったか。


「だったら……どうにかしてみせようか」


 そうして彼女はこちらに戻ってきた。

 俺の言葉が功を得たのだろう。


「腕、握ってみて」


 彼女は腕を差し出して来た。


「どういうことだ?」


 やはり彼女は腕を俺に向けている。

 その言葉通り、俺は触った。

 柔らかい肌、モチモチとした感触だった。


「掴んで、」


 そう言われて握ると、感触は変わった。いやなくなった。

 何が起きたんだ。

 そこに腕は無くなっていた。


「凄いでしょ」


 回避の超越


一、死を回避する(二時間おきに能力は復活する)


ニ、拘束からの脱出


「でも、私戦闘能力はないから、弱いんだよね」


 いやいや、それでも強いだろ。二時間おきっていうのが、しょっぱいけど、死なないってのは最強だろうよ。

 死を回避するのが、一番やべぇよ。

 死ななかったら勝つなんて無理な話だろう。


 流石、超越というべきだな。

 

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