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第90話 ヘタレ剣士としっかり妹系魔法使いが仲間になった件

 アンジェラです。

 ナナシさんの宿敵であるイシダ・シラベを何とか退けたあたし達でしたが戦いは今後も戦いは続くようです。

 さて今回ですが……何だか最近変です。



――ベリアーノ市・第3区レム屋敷――


 庭を見ると上半身裸の夫が腕立て伏せにいそしんでいた。

 こんな寒い中で元気な事……うん、でも素敵な筋肉。

 

「1121,1122,1123……」


 いやいや、やり過ぎでしょ!?

 朝っぱらからどれだけ腕立てをしているのよ。

 そんなツッコミを心の中でしているとふと気づく。

 門を隔てて赤髪の女の子がこちらを見ている、

 あの娘は……


「どうしたんだ、アン?」


 あたしに気づいたナナシさんが筋トレを終えて近づいてくる。

 うん、いい筋肉。


「ええ、あそこにケイトが…………あれ?」


 ケイト?


「ケイト?君の知り合いか?」


「何を言っているのよ。ケイトは…………あれ、ケイトって誰?」


 あたしの言葉に彼は眉をひそめた。


「大丈夫か、アン?」

「う、うん……急にどうしたんだろう?」


 あの娘の事を知っている。

 そんな気がするのだが思い出せない。

 あたしも記憶喪失になったのだろうか?

 首を傾げていると少女は一瞬小さく微笑むとその場から去っていった。

 あの子は一体……


――ベリアーノ市第4区・冒険者ギルド――


 ギルドの一角にある酒場。

 ここで俺はユーゴと対面して座っていた


「俺達とパーティを組みたい?」


 ユーゴは俺の問いに頷く。


「魔剣を失くした今、俺は大した力を持たない冒険者です。だけど生活の為にも仕事が必要です。勝手なお願いとは思うのですがナナシさんのパーティに入れて欲しいんです」


 言いたいことはわかる。

 今までのユーゴの実力は魔剣にかなり依存していた。

 だがそれはソニアに奪われてしまった。

 現在は武器店で売っていたブロードソードを扱っているが戦闘力は遥かに下がっていると言えるだろう。


「うーん、とは言えなぁ。そんな大事な事を簡単には決められないなぁ」


 これまで家族4人でクエストを受けていたので報酬はレム家の家計に入っていた。

 ユーゴと組むとクエスト報酬は分割されることになる。

 つまりはレム家の収入は減るというわけだ。

 流石に俺ひとりの一存では決められない。


「あ、別にそれでいいよ」


 不意に後ろからリゼットが声をかけて来た。


「リズ!?」


「ユーゴ君は困っていてお兄さんを頼ってきたんだよね?それじゃあ助けてあげようよ」


「そ、そりゃ俺も助けてやりたいが家計的にそれでいいのか?」


 リゼットは両手をひらひらさせながら笑う。

 かわいい。


「うん。貯金も結構あるからね。それに1か月のウチの収入と支出を計算すると……えーと、こんな感じになるから最低これくらい稼いでいたら生活に支障はないね」


 リゼットは近くに会った紙にさらさらっと金額を書き込んでいく。

 彼女は我が家の金銭管理を担当している。

 平民で雑貨店の娘だったアンジェラがそういうのは得意かと思っていたが実はリゼットが一番得意だったりする。

 リゼットが提示した金額はさほど高くはないものであった。


「これくらいならユーゴ君と報酬が分割になっても問題はないよね?アンジェラとメイシーもそれで納得しているよ」


 流石根回しが早い。


「今後、ボク達3人がクエストに同行できない事が出てくる可能性があるけどお兄さんを一人で行かせるわけにはいかないんだよね」


「え、リズ達は一緒に行けなくなるかもしれないのか?」


 急にどうしたのだろうか?

 俺が首を傾げているとリゼットが小さなため息をつく。


「だってさ、子どもが出来たらその時はどうするのさ……


「ああ、そ、そうか……」


 流石に身重になった妻達をクエストに連れて行くわけにはいかない。


「ナナシさん、未熟な俺ですがよろしくお願いします」


 立ち上がったユーゴが頭を下げる。

 いやいや、何か目立ってるぞ?


「ああ、よろしく。ところで気になっている事があるが……ティニアはいいのか?」


 ユーゴの元パーティメンバーであるティニア。

 魔剣の影響とソニアに唆されたことによりユーゴは彼女を追放してしまった。

 そおれでも彼女は俺達を通じてユーゴの救出に参加したわけだが……


「いや、何と言うか色々とひどい事を言った手前、どんな顔をして会えばいいか……」


 ヘタレか。

 いや、まあわからなくもないが。


「……ってこんな事を言っているぞ、ティニア」


 俺はため息をつきながらユーゴに背を向けて座っているフードの冒険者に蹴尾をかけた。


「!!?」


 その人物はビクッと体を震わせるとゆっくりとこっちを向く。


「ティ、ティニア!?」


 勿論、ティニアだった。

 彼女はユーゴをじっと睨み。


「ユーゴ、あんた。そんなクソダサい理由でウチの事を避けてたわけ?」


「い、いやだって……」


 ユーゴはしどろもどろになりながら目を左右に泳がせている。

 基本的にこの世界の女性、特にナダ女子というのはメンタルが強い。


「ユーゴ、これ以上かっこ悪いところを見せるな。すべきことはわかってるだろ?」


「は、はい……そのティニア……この間は本当に済まなかった。えーと……」


「あたしも入るから、ナナシさんのパーティ。ユーゴをきちんと監督しないといけないからね」


「あ、はい……よろしくお願いします」


 何か勝手に話が進んでいるがチラッとリゼットを見ると予定調和だったことがわかる。

 ティニアは俺の前に来ると丁寧にお辞儀をして……


「というわけでナナシさん、ケレス・リシティニアです。これからユーゴ共々お世話になります」


「ああ、よろしく」


 とても礼儀正しい娘だ。 

 ユーゴが性格変わってやらかしていた間はこの娘があちこちに頭を下げていたのかもしれないな。


「それに、ユーゴの監督だけじゃなくてウチ自身もお姉さまたちを見習っていい女にならないとです」


 え、お姉さま?


「ああ、その娘ね。アンジェラに弟子入りしたよ」


「ええっ!?」


  確かにアンジェラはひいき目にしても優秀な魔法使いだと思うがいきなり師弟関係とは驚いた。


「だって、アンジェラお姉さまの魔力量とセンスって超イケてるじゃないですか!それにメイシーお姉さまとリゼットお姉さまは伝説のダブルプロポーズの当事者。ナダ女にとってあこがれの的です!!」


「あの事には触れないで。あれは思い出しただけで顔から火が出そうになるから……」


 リゼットが顔を真っ赤にして両手で覆い隠した。

 確かにあの時のリゼットは人生で最大級の勇気を出していたかもしれないな。

 ダブルプロポーズってだけで凄いがしかも大衆の面前でだ。

 リゼットはイリス人なのでナダ人程肝も座っていない。まあ、結果として幸せなわけだが……



<パーティメンバー追加>


ダン・ユーゴ

等級:1等中級冒険者

職業:ソードマスター(剣士系上級職)

武器:ブロードソード


ケレス・リシティニア

等級:2等中級冒険者

職業:ウィザード(魔法使い系中級職)



あれ、こいつら俺より等級上だよ

まあ、ウチはリゼットとメイシーだって2等中級だから問題はないが……

ちなみに俺は最近3等中級までランクアップはしている。

本当に、気合を入れ直さないとな。


読んでくださってありがとうございます。

面白い、続きが読みたいと思った方は是非、評価とブクマをよろしくです。

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