第1話 デウスの旅立ち〜大いなる冒険へ向けて〜
船が次の町へ向け、最寄りの港を出発してから数時間、出発当初の揺れは無くなり、穏やかな航海が続いていた。
そんな船の上では、海の風を肌で感じている者、はしゃぐ子供たちをビデオで撮り微笑む夫婦、、、とそれに映る少年、海を背に写真をお願いする老夫婦、、、とそれに写り込んでしまった少年、実に多くの人たちが海の旅を楽しんでいた。
そして、船を行ったり来たりと忙しなく動き回るこの少年もまた此度の出航を楽しみにしていた1人である。船と海がぶつかる音とは違う音に気付くと、彼は不意に立ち止まり空を見上げた。彼の視線の先にあるのは青空と、その青空に浮かびながら進む空飛ぶ船があった。それは、通称、『飛空船』と呼ばれている。
この飛空船には王族、貴族、空軍や冒険者などといった世間的に実力者と呼ばれるような者たちが乗っている。
彼はいつか、仲間と築いた冒険団で飛空船に乗り冒険することを楽しみにしている。ただ、そんな彼の仲間は未だ1人もおらず、これから仲間集めを始める予定だ。
「うっしししし。楽しみだなァ、どんな冒険が待ってんのかなァ!」
それから程なくして彼を乗せた船は、遂に目的の町へ到着したのだった。