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3/3

入学式(後編)

放課後メインです


走って行った彼女を追いかけ、教室に戻る。

教室の皆の雰囲気から察するに自由時間からの自然解散になったようだ。

俺も帰ろうかと思い、鞄を持つ。

そして教室を見渡す。

そういえばなぜ彼女のことがこんなにも気になるのだろうか。

家が隣だから?美人だから?それともスタイルがいいから?

なんか違う気がするなぁ

そんなことを考えながら彼女を探すが見つからない。

もう帰ったのだろうか、なら俺も帰ろう。

そう思い後ろを向こうとすると、


「何してるんですか、そんなに周りを見渡して」


いた…

ハンカチで手を拭いているところを見るとお手洗いに行っていたのだろう。


「いや、ちょっと君を探してて…」

「えっ、それってそういう…」


そう言って彼女は頬を赤く染める。ちょ、そういうことじゃ無いって…


「そ、そうじゃなくて!家も隣だし、一緒に帰ろうと…」

「そういうことだったのね…」


なぜか少し悲しそうな綾音さん…そういうことだったら嬉しかったのか?

イコール彼女は俺が好き?

いやそんなわけないだろう…今朝あったばっかりなのに惚れられてたら逆に怖いわ。


「じゃあ一緒に帰りましょうよ」

「喜んで!」


推定学校1の美少女と一緒に帰れるって結構幸福では?

ということで俺と彼女は一緒に帰ることにした。

後ろからくる嫉妬の視線が痛いが誇らしい。

いや、決して下心を持って誘ったんじゃないからな?流石に。

そう一緒に帰るのはいいものの話すことがなくて気まずい。

なんか話すことないかな…そうだ!


「スピーチよかったね!俺も昔同じことがあったから共感したよ!まぁ、俺は引っ越した側だったけど…引っ越した側もずいぶん寂しいものだよ…」

「そうなですね!どんなことがあったんですか?」


思ったより反応が良かった。俺は話題になればと思って話し始めたのだが、共感してくれることの嬉しさからついつい話し続けてしまう。


「俺は昔田舎にいたんだが、親の転勤で東京に来ることになてしまってな。」

「(こくっ)」


彼女は頷きながら聞いてくれる。


「とても親しかった幼馴染がいてなその子が好きだったんだ。」

「!」


なぜかするりと好きだったという言葉が出てきた。

そのまま俺は昔を思い出す。


◇


「なんで!?佳輝そんなこと言ってなかったじゃん!」

「だって、だって!言えるわけないじゃないか!」


そういう俺と彼女は泣いている。


「言ったら、泣いちゃうから…」

「ッ!」


そうだ、俺は泣いてしまうのが嫌で出発の直前まで地元を離れる(二度と会えないだろう)ことを彼女にいえなかったんだ。

そして、昔から思っていたことを一緒に伝えようと…


「あの、⬛︎⬛︎!俺、昔から君のことが…」

「もう嫌いッ!」


したけど、嫌いって言われて逃げられちゃったんだっけな…

そして、仲直りもできないまま俺は東京に…


◇


「あの、大丈夫ですか?」

「!いや、大丈夫だよ。どうしたの?」

「だって、泣いて…」


そう言われ、俺は自分の顔を触る。

気づけば涙が溢れ、顔を濡らしていた。


「す、すまない、見苦しいところを見せて」

「そ、そんなことないですよ!」


そう慰めてくれる彼女も泣きそうになっている。

共感してくれているのだろうか。

すると、彼女は黙ってしまった。


◇◇◇


彼は昔私のことが好きだったらしい。

過去形であることに少し胸が痛む。

彼に言われて思い出した。私は彼を見送れてなどいない。もう会えなくなってしまう彼に嫌いという言葉を叩きつけ、走って帰ってしまったのだ。本当に辛いのは知らない土地に行く彼だというのに。

横を見ると泣いている好きな人の顔が見えた。

思わず大丈夫と声をかける。

彼を悲しませているのは昔の浅ましい私だというのに。

彼の涙が止まるのを見たら私のの頭に別れの時の記憶が溢れ出した。


◇


「もう嫌いッ!」

「あっ!待って!」


私は佳輝の引き止める声に耳を貸さず走り出した。

目指す先は家。もう誰の顔も見たくなかった。

知っていただろうにおしえてくれなかった両親も、黙っていた彼の両親、それに、彼自身のことも。

佳輝がいなくなることで何かがこぼれ落ち、代わりとばかりに佳輝を失った悲しみが胸を満たす。

家に着いた私は自分の部屋に閉じこもった。

夜、仕事に行っていた親も帰り、夕食に呼ばれる。

当然私は食べになど行かない。頭の中にあるのは知っていたのに教えてくれなかった親への憤りや、憎しみだけだった。

失って初めて私は気づいた。


「私、好きだったんじゃん…」


今まで気づかなかった自分への自嘲と怒りが涙となって声と共に溢れ出す。

その日私は部屋から出ずに泣きつづけ、気づいたら眠っていたらしい。

三角座りのまま寝ていたせいで翌日首が痛んだ。しかし頭はびっくりするほど冴えていた。

私は東京に行く。そう決心したのだ。

そして私はとにかく勉強した。心配する親の声に耳を貸さず。

もう裏切った人などどうでもいい。でも彼は、彼だけは。

私は彼に気に入ってもらうためにおしゃれも頑張った。

でも、頑張るたびに東京の可愛い人と彼が恋人になっていたらと思うと胸が痛んだ。


そんなわけで頑張り続けた私は今、ここにいる。彼に思い出されないままで…


◇


彼女が黙ってしまったので見守っていると急に涙を流し始めた。


「だ、大丈夫!?」

「大丈夫だよ」


そういう彼女は笑っていた。嬉しそうで、でも悲しそうな顔で。

俺は彼女を抱きしめた。

なんでそうしたのかはわからないがそうしたほうがいいと思った。抱きしめるととても懐かしい気がした。


「!どうしたの?」

「なんか、しないといけない気がして」


自分でも何言ってるんだって思うけど口走ってしまった。

すると彼女はまた泣き出した。激しく、溜め込んだ感情を発散するように。


「なんで!?なんで優しくするの!?わす、忘れたくせに!」


彼女の声は掠れていてよく聞こえなかった。

でもなぜか申し訳なくてずっと「ごめん、ごめん」と謝り続けた。

大体5分ぐらいで彼女は泣き止んだ。

そのまま俺は彼女を家に送った。

俺はいつも人を泣かせてばかりだ。


でも今日のは俺が原因じゃないよね!?うん。

家に帰った俺は服を脱ぎ、風呂に入る。やっぱ風呂は帰ってすぐに入らないとね。

そして飯を作る。一人暮らしのために料理は練習したからそれなりに上手い。

今日の飯は肉じゃがときゅうりの浅漬け、なめこの味噌汁。あとみんな大好き白米である。

う〜ん美味い。でも一人で食べる飯ほど寂しいものはないぜ。

飯を食べ終わった後はスマホWeCubeでも見て時間を潰す。

すると電話がかかってきた。妹からである。

4コールほどで出る。


『ちょっと!遅いよ!』

「ごめんってWeCube見てた」

『それでも!妹からの電話には2コール以内にでなさい!』

「ちょっと厳しくないすか?」

『うるさい!つべこべ言わない!』

「はいはい。で、なんのよう?」

『冷た!妹驚愕!まぁ本題に入るんだけど。高校どんな感じ?』

「さぁ?まぁそれなりに楽しそうだよ」

『ふーん楽しくやれてるならいいけど』

「あっ!そういえば隣に女の人が住んでるんだけど、その人が同じクラスの女子で学年主席で同じクラスの超美少女なんだよ!」

『何そのラノベ展開!すご!まぁおにぃにチャンスはないから諦めな』

「まだ何も言ってないんだが?まぁいいや。俺は楽しくやれてるよ。そっちは?今2年だろ?後輩が入ってきた気分は?」

『いい感じだよ。可愛い男子がいないか探してる』

「お前に襲われる男子も可哀想だぜ」


なんせ妹は剣道初段だからな。ゴリラだぜ、あいつは。ゴリラ。


『なんか失礼なこと考えなかった?まぁいいや。そろそろ切るね』

「おうよ。バーイ」

『バーイ』


ブツッ


はぁあいつと話してると疲れるんだよな。

もうだいぶ遅くなってしまった。明日は初授業なので早く寝よう。

俺は誰もいない空間におやすみと言って眠りについた。

評価を…下さい…

主人公はなろうあるあるご都合主義突発性難聴です。

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