第19話 映画のせい、ということにしたい
# 第19話 映画のせい、ということにしたい
上映開始五分前。
怜央たちと別れたあと、売店へ寄っているうちに、ちょうどいい時間になっていた。
四人はスクリーンへ続く通路を歩いている。
陽翔は大きなポップコーンを抱え、真琴はドリンクだけ。蓮司は何も買わず、みおは小さな飲み物を片手にしていた。
「席どこ?」
陽翔がチケットを確認する。
「真ん中くらい」
真琴が答えた。
「並びは?」
「私、佐倉さん、黒瀬、天野」
「え」
みおの足が止まった。
真琴が振り返る。
「何?」
「い、いえ……」
蓮司も自分のチケットを見る。
「……俺、佐倉の隣?」
「嫌?」
「別に」
「じゃあ決まり」
真琴は何事もなかったように先へ進んでいく。
みおはその背中をじっと見つめた。
――絶対わざとだ。
先週
さきに渡されたBL漫画を、結局三冊とも読んだ。
それ以来、妙に蓮司を意識するようになってしまったというのに。
今日見る映画までBL。
しかも。
隣が蓮司。
「……」
嫌な予感しかしない。
「みおちゃん」
横から陽翔が顔を覗き込んだ。
「顔赤くない?」
「赤くないです!」
「まだ映画始まってないよ?」
「分かってます!」
前を歩いていた蓮司が振り返る。
「何騒いでんだ」
「何でもないです!」
「今日もそれか」
「いいから行きましょう!」
みおは逃げるように真琴の後ろを追いかけた。
真琴の肩が、ほんの少しだけ震えていた。
たぶん。
笑っている。
◇
スクリーン内。
四人が席につくと、間もなく照明がゆっくりと落ちていった。
並びは予定通り。
真琴。
みお。
蓮司。
陽翔。
暗闇の中で、本編が始まる。
物語は、高校時代から親友だった二人の青年が、大学進学をきっかけに少しずつ互いへの感情を自覚していくというものだった。
序盤は、ごく普通の青春映画に近い。
学校。
部活。
友人。
進路。
くだらない会話をして、笑って。
卒業が近づくにつれて、少しずつ変わっていく関係。
陽翔も最初は普通に見ていた。
「……意外と普通だな」
小声で呟く。
真琴が隣から返す。
「何を想像してたの?」
「もっと最初からこう……」
「黙って見て」
「はい」
一瞬で黙った。
みおは思わず笑いそうになる。
けれど。
すぐに前へ視線を戻した。
映画。
今日は映画を見る。
そう決める。
なのに。
「……」
隣。
すぐ隣に。
蓮司がいる。
肘掛けを一本挟んだだけの距離。
スクリーンから漏れる光が、時折その横顔を照らす。
普段より暗いせいか。
いつもとは少し違って見える。
「……」
みおは慌てて前を向いた。
映画を見る。
ちゃんと集中する。
そう自分へ言い聞かせた、その直後。
スクリーンの中で。
主人公の一人が、親友が女性と楽しそうに話している姿を見つけた。
そして。
理由も分からないまま、機嫌を悪くする。
「……」
みおの目が少し細くなる。
――理由も分からないまま、機嫌が悪くなる。
少し前。
怜央の名前を出すたびに妙に不機嫌になっていた蓮司。
真琴から聞いた言葉も思い出す。
――黒瀬が勝手に何か勘違いして、勝手に不機嫌になってただけ。
「……まさか」
小さく漏れた。
「何が」
「っ!」
真横から声がした。
見ると、蓮司がこちらを向いている。
「何だよ」
「な、何でもないです!」
「映画館ででけえ声出すな」
「先輩が急に聞くから!」
「お前が先に喋ったんだろ」
前の席の客がちらりと振り返った。
「……」
「……」
二人とも即座に黙る。
その左隣で。
真琴が必死に笑いを堪えていた。
◇
物語は中盤へ入った。
二人の主人公は、自分たちの感情が何なのか、まだ認められない。
片方は明らかに嫉妬している。
それなのに。
『友達だから気になるだけだ』
そう言い張る。
陽翔が小声で呟いた。
「これ、無理あるだろ」
真琴が答える。
「外から見るとね」
「いや、どう見ても好きじゃん」
陽翔はそう言って。
なぜか蓮司を見た。
「……」
蓮司も気づく。
「何だよ」
「いや?」
「言えよ」
「別に?」
「その言い方ムカつくな!」
「静かに」
真琴から叱られた。
「はい」
また陽翔が素直に黙る。
けれど。
みおは笑えなかった。
映画の内容より。
隣に座っている蓮司の反応のほうが気になり始めていた。
――友達だから気になるだけ。
それなら。
蓮司が怜央とのことを気にしたのも。
ただ、自分が後輩だから?
仲のいい後輩だから?
「……」
分からない。
そして。
今度は物語の中で雨が降り始めた。
傘を持っているのは一人だけ。
二人が同じ傘へ入る。
「……!」
みおの身体が固まる。
――ちょっと近くなるだけです。
いつか結衣が言った言葉まで蘇った。
蓮司と一つの傘に入って帰った、あの日。
肩が近くて。
少し離れたら。
――濡れてる。もっとこっち。
そう言われて。
引き寄せられた。
あのときは。
ただ、近いと思っただけだった。
なのに。
今思い返すと――。
「……」
顔が熱い。
みおは誤魔化すようにドリンクへ口をつけた。
ずずっ。
「……」
空だった。
さっき全部飲んでしまったらしい。
こんなときに限って。
何もない。
蓮司が横目で見る。
「お前、大丈夫か」
「はい」
「顔赤いぞ」
「暗いから分かりません」
「分かる」
「映画見てください!」
「見てるよ」
みおは両手で頬を押さえた。
最悪だ。
絶対、映画のせい。
こういう場面ばかり出てくるから悪い。
◇
そして、映画は終盤へ。
長い間、自分たちの気持ちから目を逸らしてきた二人が。
ようやく。
互いの感情と向き合う場面だった。
長い沈黙のあと。
一人が言う。
『男だから好きなんじゃない。お前だから好きなんだ』
「……」
みおの胸が。
強く鳴った。
何か特別な言葉だったわけではない。
似たような台詞なら、きっといろいろな恋愛作品にある。
けれど。
なぜか。
みおには、その言葉がひどく深く残った。
――お前だから好き。
「……」
そっと隣を見る。
蓮司は黙ってスクリーンを見つめていた。
何を考えているのかは分からない。
もし。
蓮司が誰かを好きになったら。
その人だから好きだと。
そんなふうに思うのだろうか。
「……」
自分でも。
なぜそんなことを考えたのか分からない。
スクリーンの中で、二人が抱きしめ合った。
そして。
ゆっくり顔が近づいていく。
「……!」
みおの身体が硬くなる。
そのまま。
二人は口づけを交わした。
映画館の中は静かだった。
みおは見ていられず、ほんの少しだけ視線を下げる。
そのとき。
ころ。
何かが落ちた。
一粒のポップコーンが、床を転がる。
真琴が右を見る。
陽翔は。
ものすごく真剣な表情でスクリーンを見ていた。
「何」
「いや……」
陽翔が小声で答える。
「普通にドキドキするな、これ」
真琴の口元が緩んだ。
「素直じゃん」
「いや、ちゃんと恋愛映画なんだな」
「最初からそう言ってる」
「BLって聞いたから、もっと特殊な感じなのかと思ってた」
「恋愛は恋愛でしょ」
「……なるほど」
陽翔は素直に頷いた。
その会話を聞いて。
みおは少しだけ嬉しくなった。
男同士だから。
女同士だから。
そういうことではなくて。
ただ。
誰かが誰かを好きになる話。
そういうものとして陽翔が見ていることが。
なんだか嬉しかった。
そして。
ふと。
蓮司を見る。
「まあ」
蓮司が小さく呟いた。
「?」
「普通に映画として面白えな」
みおは少し驚いた。
「……そうですね」
「何だよ」
「いえ」
思わず笑う。
「先輩、途中で帰るかと思ってました」
「なんでだよ」
「BLだから」
「別に関係ねえだろ」
また。
それだ。
――別に関係ない。
みおは蓮司をじっと見た。
人の恋愛を。
最初から形で決めつけない。
蓮司は以前も同じだった。
自分がトランスジェンダーだと知ったときも。
何も変わらなかった。
今だって。
映画の登場人物が男同士だからといって。
それだけで違うものとして見てはいない。
「……」
気づけば。
少し長く見つめてしまっていた。
蓮司がこちらを向く。
「何」
「何でもないです」
「またか」
「映画見てください」
「もう終わるだろ」
「いいから」
みおは前を向いた。
でも。
胸の奥は。
少しだけ温かかった。
◇
エンドロールが終わり。
照明がついた。
四人はスクリーンを出てロビーへ向かう。
陽翔が大きく伸びをした。
「いやー、思ったより良かった!」
真琴が呆れたように見る。
「最初めちゃくちゃ警戒してたくせに」
「だって初めてだったし」
「で?」
「普通に面白かった」
陽翔は妙に胸を張った。
「俺、BLいける!」
真琴が吹き出した。
みおもつられて笑う。
「天野先輩、こういうとき順応早いですよね」
「そう?」
「前も、私のこと聞いたときすぐ普通でしたし」
「ああ」
陽翔は少し考え。
納得したように頷いた。
「俺、適応力高いんだな」
真琴が即答する。
「単純なだけ」
「ひどい!」
蓮司も笑った。
「それは否定できねえ」
「蓮司まで!」
笑いながら歩く三人の横で。
真琴が、すっとみおへ近づいた。
「どうだった?」
「え?」
「映画」
「……面白かったです」
「それだけ?」
嫌な予感がする。
真琴の目が。
少し笑っている。
「何ですか」
「別に」
「桐谷先輩の『別に』はもう信用しません」
「じゃあ聞くけど」
真琴は声を落とした。
「黒瀬の隣で見るには、ちょっと刺激強かった?」
「……!」
みおの顔が一気に赤くなる。
「桐谷先輩!」
「やっぱり」
「違います!」
「私はまだ何も断定してないよ」
「絶対面白がってましたよね!」
少し前を歩いていた蓮司が振り返る。
「何話してんだ」
「何でもないです!」
みおが即答した。
蓮司の眉が寄る。
「今日、お前それ多すぎだろ」
「先輩は気にしないでください!」
「何で俺が怒られんだよ」
真琴は隣で楽しそうに笑っていた。
◇
映画館を出た頃には。
時計は午後四時半を回っていた。
真琴は、午前中に買ったプレゼントの紙袋を大事そうに持っている。
陽翔が尋ねた。
「このあとどうする?」
「私は帰る」
「もう?」
「結衣に連絡する」
「今日プレゼント渡すの?」
「誕生日まで隠す」
「絶対喜ぶよな」
「ならいいけど」
そう言いながら。
真琴の口元は少し緩んでいる。
みおも笑った。
「七瀬先輩、絶対喜びますよ」
「……だといいけど」
そのとき。
真琴のスマートフォンが震えた。
「あ」
画面を見る。
「結衣?」
陽翔が覗き込もうとする。
「見るな」
「見てないって!」
真琴はメッセージを確認する。
それだけで。
さっきまでより、ほんの少し表情が柔らかくなる。
陽翔がすぐ気づいた。
「ほら! またその顔!」
「何」
「彼女持ちの顔!」
「意味分かんない」
「余裕がある!」
「はいはい」
真琴は返信を打ちながら、三人へ軽く手を上げた。
「じゃ、私はここで」
「おう」
「また学校で」
みおも頭を下げる。
「今日はありがとうございました」
真琴が少し笑った。
「また映画行こう」
「次は普通の映画でお願いします」
「今日のも普通の映画だけど」
「あっ……」
みおが止まる。
確かに。
自分でも、いつの間にか変な言い方をしていた。
真琴が笑う。
「次は違うジャンルにしよ」
「はい」
「佐倉さんが選んでもいいよ」
「じゃあ絶対そうします!」
「黒瀬と相談して」
「なんで先輩と!?」
「じゃあね」
「逃げた!」
真琴は手を振りながら去っていった。
◇
残った三人。
陽翔が駅の案内を見る。
「……あれ?」
「何だよ」
「俺、こっちじゃない」
蓮司が呆れた。
「知るか」
「蓮司とみおちゃんは歩きだよな?」
「はい」
「じゃあ俺、一人?」
「そうなるな」
「寂しい!」
「知らねえよ」
陽翔は本気で少し考え。
「途中まで一緒に行く!」
蓮司が眉を寄せた。
「逆方向だろ」
「友情」
「無駄な友情だな」
「冷たい!」
みおは笑う。
結局。
駅前で陽翔とは別れることになった。
「じゃあ月曜な!」
「はい」
陽翔が二人へ手を振る。
そして。
「蓮司、みおちゃんちゃんと送れよ!」
「同じ方向だっつってんだろ!」
「分かってるって!」
「なら言うな!」
陽翔は笑いながら駅の中へ消えていった。
残された二人。
「……」
「……」
休日。
私服。
二人きり。
今までだって。
学校から二人で帰ったことは何度もある。
それなのに。
今日は。
なぜか少し違う気がした。
――映画のせい。
絶対に。
映画のせいだ。
みおはそう決めた。
◇
住宅街へ向かう道。
蓮司が何気なく口を開く。
「さっきの映画」
「はい」
「お前、本当にああいうの読むんだな」
「だから、この前初めて読んだんです!」
「読んでんじゃん」
「だって面白かったんです!」
「別に責めてねえよ」
蓮司が少し笑う。
「意外だなと思っただけ」
「私だっていろいろ読みます」
「少女漫画とか?」
「読みますよ」
「恋愛もの好きなのか」
「……まあ」
みおは少し考え。
「人が誰かを好きになる話は、好きです」
「へえ」
「先輩は?」
「知らねえ」
「映画、面白いって言ってたじゃないですか」
「映画としてな」
「じゃあ恋愛映画も見られるんですね」
「別に」
みおが笑った。
「先輩、本当に『別に』好きですね」
「使いやすいんだよ」
「逃げるときに?」
蓮司が横を見る。
「お前、真琴に何教わった?」
「何も」
「絶対なんか教わっただろ」
「先輩を見て覚えただけです」
「もっと悪いわ」
みおは笑いながら歩く。
そして。
しばらくして。
映画の中の言葉が、もう一度頭へ浮かんだ。
――お前だから好きなんだ。
「……」
少しだけ。
足が遅くなる。
蓮司が気づいた。
「どうした」
「先輩」
「あ?」
「もし……」
口にしかけて。
みおは止まった。
もし。
先輩が誰かを好きになるなら。
相手がどんな人でも。
その人自身を見て好きになるんですか。
もし。
その相手が。
私だったら――。
「……」
聞けない。
こんなこと。
聞けるわけがない。
「……やっぱり何でもないです」
「またかよ」
「忘れてください」
「気になるだろ」
「気にしないでください」
「言いかけた奴が悪い」
「じゃあ先輩も今度、何か言いかけて途中でやめてください」
「何の仕返しだよ」
「お互い様になります」
「意味分かんねえ」
蓮司は不満そうだったが。
それ以上は追及してこなかった。
みおは前を向く。
少し安心する。
でも。
ほんの少しだけ。
聞いてみたかった気持ちも残っていた。
◇
その日の夜。
「ただいま」
「おかえりー」
リビングから、さきが顔を出した。
「どうだった?」
「楽しかったよ」
「真琴ちゃんのプレゼント、買えた?」
「うん。すごく悩んでた」
「いい彼女だねえ」
「あと、白鷺先輩にも会った」
「へえ」
「彼女と一緒だった」
さきの目が少し輝く。
「例の?」
「うん。大学生で、一つ上なんだって」
「ほう」
「すっごく綺麗な人だった」
「みおより?」
「なんで比較するの」
「気になっただけ」
「比べるところじゃないでしょ」
みおは呆れながらバッグを置く。
「で、買い物のあとは?」
さきが何気なく尋ねる。
「そのまま帰ってきたの?」
「ううん」
みおはバッグからスマートフォンを取り出しながら答えた。
「みんなで映画見てきた」
「へえ、映画?」
さきが少し興味を示す。
「何見たの?」
「……」
みおの手が止まった。
買い物の話なら、何も困らなかった。
怜央とその彼女に会った話だって、普通にできた。
けれど。
映画だけは。
なんとなく言いづらい。
その沈黙を見て、さきが首を傾げる。
「何その間」
「……恋愛映画」
「へえ」
「……」
「タイトルは?」
「そこまで聞く?」
「なんで隠すの?」
「隠してないけど……」
みおは少し視線を逸らした。
どうせあとで聞かれる。
なら、今言ってしまったほうが早い。
「……BLの」
さきが数秒。
黙った。
そして。
「誰が選んだ?」
「桐谷先輩」
さきは天井を見上げる。
「真琴ちゃん……」
なぜか感動したような声だった。
「分かってるなあ」
「何が!?」
「で?」
嫌な流れが始まった。
「席は?」
「……」
「黒瀬先輩の隣?」
みおは答えなかった。
それだけで十分だった。
さきがゆっくり笑う。
「どうだった?」
「映画は面白かった!」
「黒瀬先輩は?」
「普通に見てた!」
「キスシーンあった?」
「……!」
一瞬の沈黙。
「へえ。あったんだ」
「お姉ちゃん!」
みおの顔が一気に熱くなる。
さきは楽しそうに笑った。
「黒瀬先輩、意識した?」
「してない!」
「ほんと?」
「して――」
言いかけて。
止まった。
「……」
さきは何も言わない。
茶化さない。
ただ。
みお自身が、自分の答えに詰まったことへ気づくのを待っている。
朝。
服を褒められたとき。
映画館で隣に座ったとき。
相合傘の場面を見たとき。
キスシーン。
映画の帰り道。
ずっと。
蓮司が気になっていた。
「……少しだけ」
みおは小さく認めた。
今度は。
さきが少し驚いた。
けれど。
笑わなかった。
「そっか」
「でも」
みおは慌てて付け足す。
「映画のせいだからね」
「うん」
「この前、お姉ちゃんが変な漫画読ませたから!」
「うん」
「黒瀬先輩だからじゃないから」
そこだけ。
さきの口元が少し緩んだ。
「それは私には分かんないな」
「……」
「みおが、そのうち分かるんじゃない?」
みおは答えなかった。
自分の部屋へ戻る。
机の上には。
あのBL漫画が置かれている。
「……」
一冊手に取る。
しばらく表紙を眺め。
また机へ戻した。
「今日は読まない」
これ以上。
余計なことを考えたくない。
部屋の灯りを消し、ベッドへ入る。
目を閉じる。
「……」
けれど。
浮かんだのは。
漫画ではなかった。
薄暗い映画館。
隣の座席。
スクリーンの光に照らされた。
蓮司の横顔。
「……もう」
みおは布団を頭までかぶった。
どうやら。
漫画を読まなくても。
黒瀬蓮司のことを考えるようになってしまったらしい。
それでも今はまだ。
映画のせい。
そういうことにしておきたかった。
【桜羽学園高等部 学校紹介】
――あなたらしく学び、あなたらしく歩む。――
桜羽学園高等部は、
生徒一人ひとりの個性と、自分らしい生き方を大切にする私立の共学校です。
中高一貫校でありながら、高校からの外部入学生や転校生も積極的に受け入れており、
さまざまな環境で育った生徒たちが同じ校舎で学校生活を送っています。
■一人ひとりの「違い」を大切に
桜羽学園が大切にしているのは、
誰もが安心して、自分らしく過ごせる学校であること。
性別、恋愛対象、家庭環境、国籍、文化、価値観。
人にはそれぞれ違いがあります。
桜羽学園では、その違いを特別なものとして扱うのではなく、
一人ひとりが持つ個性として尊重しています。
制服や学校生活についても、本人の希望を大切にしながら柔軟に対応。
性別にかかわらず、スカートとスラックスから自分に合った制服を選ぶことができます。
また、本人の同意なく性別や家庭事情などを詮索したり、
周囲へ広めたりすることは禁止されています。
「みんな同じ」であることではなく、
「違っていても、一緒に過ごせること」。
それが桜羽学園の目指す学校の姿です。
■自由と責任を大切にした校風
校則は比較的自由。
髪型や身だしなみについても、生徒自身の自主性を尊重しています。
その一方で、
「自由だから何をしてもいい」
という考え方ではありません。
他人の尊厳を傷つける行為や暴力、
相手が嫌がる詮索などにはしっかりと対応します。
自分らしくあること。
そして同じように、
隣にいる誰かの「その人らしさ」も尊重すること。
自由と責任、その両方を学ぶことを大切にしています。
■それぞれの未来を応援する進路教育
桜羽学園は進学校としての教育環境を整えながらも、
大学進学だけを唯一の目標とはしていません。
有名大学への進学を目指す生徒。
専門的な技術を学ぶために専門学校へ進む生徒。
芸術の道を目指す生徒。
高校卒業後、社会へ出ることを選ぶ生徒。
目指す未来は、一人ひとり違います。
だからこそ桜羽学園では、
生徒自身が考え、自分で選んだ進路を大切にしています。
■明るく、開放的なキャンパス
校舎は比較的新しく、
大きな窓から光が差し込む明るく開放的な造り。
広い廊下や清潔感のある教室など、
毎日を快適に過ごせる環境が整っています。
校舎中央には、桜羽学園を象徴する大きな桜の木が立つ中庭があります。
昼休みには友人と昼食を楽しんだり、
ベンチでのんびり過ごしたりと、
多くの生徒が集まる憩いの場所です。
ほかにも、
・豊富な蔵書をそろえた図書室
・広々とした調理実習室
・体育や部活動、学校行事で使用する体育館
など、充実した設備を備えています。
■生徒に寄り添う先生たち
桜羽学園では、生徒と教師の距離が比較的近いことも特徴のひとつです。
勉強や進路だけでなく、
学校生活や日々の悩みにも向き合います。
必要な時には手を差し伸べる。
けれど、必要以上に特別扱いはしない。
生徒自身の意思を尊重しながら、
それぞれが安心して学校生活を送れるよう支えています。
■安心できる学校生活を支える風紀委員会
桜羽学園の風紀委員会は、
単に校則違反を取り締まるだけの組織ではありません。
校内の見回りをはじめ、
生徒同士のトラブルへの初期対応、
学校行事での安全管理など、
生徒たちが安心して学校生活を送れる環境づくりを担っています。
規則で生徒を縛るのではなく、
学校生活をより安全にするための存在として活動しています。
■学校帰りも楽しめる環境
最寄り駅までは学校から徒歩約10分。
駅周辺にはカフェやコンビニ、書店、ファストフード店などが並び、
放課後には友人同士で立ち寄る生徒の姿も見られます。
少し離れれば、昔ながらの商店街や落ち着いた住宅街もあり、
都会すぎず、静かすぎない過ごしやすい環境です。
■桜羽学園高等部が大切にしていること
自分とは違う誰かを知ること。
誰かに合わせるのではなく、自分のことも大切にすること。
失敗したり、迷ったりしながら、
自分なりの答えを見つけていくこと。
高校生活の三年間は、
勉強だけではなく、
これからの自分を見つけていく時間でもあります。
桜羽学園高等部は、
生徒一人ひとりが自分らしい高校生活を送り、
それぞれの未来へ進んでいける学校を目指しています。
――違うからこそ、出会えるものがある。
――自分らしい三年間を、桜羽学園で。




