大!……どん!でん!がえし!
病室には看護士、医者、ベッドに横たわる老人。
その孫と家族がいた。
全員が涙を浮かべ、特別に入室が許されたペットの猫も悲しそうな顔をしていた。
「おじいちゃん目を覚まして!」
「そんな!親父!まだ親孝行なにもしていないのに……」
「……」
あー。
これはワシは死んだのー。
『突然現れた行方不明のおじいちゃんが孫や息子に悪く言われながらも少しずつ絆を深め家族になっていく』……笑って泣いてのコメディー映画のラストの泣きどころだもん。
賢泣くな。
男の子じゃろう?
昌お前はよくやったよ……ワシは死ぬ……サラバじゃ……
「やっと家族になれたのに!おじいちゃーーん!」
「おやじーー!」
「最後に……家族になれて……うれし……かっ……た……」
『うわああぁぁ!』
「ありがとう田中……」
「田中……やすらかに……」
数日後、昌と賢は墓の前で手を合わせた。
「田中よすまんのう!」
賢と昌の間には数日前まで死にかけたとは思えないほど元気になった『健』がいた。
「まさかあそこから息を吹き返すとは思わなかったよ」
「一時間後にはご飯モリモリ食べてたしね」
「奇跡っておきるもんじゃのう!猫の『田中』を死神が間違って連れていたのかもしれんな!」
そうニャよー。
まったく。
『墓参りをしているから、おじいちゃんが死んだとみせかけて実は死んだのは猫の『田中』で。墓はペットの墓だった』というどんでん返しストーリーに巻き込まれたほうはたまったもんじゃニャい。
まあいい。
笑って泣いてのコメディーのラストはやはり笑顔じゃなければの。
さて……天国にいくか……
「あー君」
んにゃ?
長い白髭と白髪で杖をもった老人に話しかけられた。
おかしいニャー。
なぜワシが見えるんかのー?
「私は生と死を司る神だ……」
「神?神様がワシになんのようで?」
神と名乗る男はすまなそうにこう言った。
『すまんのー。ワシの手違いでおぬしを殺してしもうた。お詫びにチート能力をつけて異世界に転生させてやるわい!』
「にゃニィっ!?」
新たな物語が始まる……?
次回『猫からはじまる異世界ライフ』
声優…濱口優
この小説でなにが言いたかったかというと、ありとあらゆる物語で『おじさんの生存率低すぎ』。
おじさんの生存率をみんなであげよう。