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一週間後の現在

side 翼



 俺たちが全世界に向けて、建国と開戦の宣言をした日から一週間。世界は、完全に俺たちの計画通りに動いていると言っていいだろう。幾つかの国では、俺たちの力が自分たちに向けられるのを恐れて、『翼人』の開放と、奴隷制度の廃止を行なったのだから。


 それもこれも、俺たちがあの宣言をしたその日の内に、5ヶ国の貴族達を惨殺して回ったからだろう。いずれも、最悪の部類の人間だったから、つい俺たちも感情的になってしまったのだ。そいつらは、自身の領地の人間にすら虐待などをしていて、遊びで人が殺されるなんてザラにある場所だった。


 俺たちは敵には容赦しないが、それ以外の人は傷つけなかった。それどころか、そこの住人達が余りにも今までの『羽根付き』と似ていたので、可哀想になって食料を分けてあげたり、治療をしたりした。


 その行動によって、各国が俺たちに抱いていた悪感情も多少は払拭出来たようだ。俺達と徹底的に交戦するよりも、俺達と協力して国を発展させたいと考えた国が、俺たちの要求に従って『翼人』を開放しているのだ。


 だが、好戦的な連中は、俺たちの本拠地を探し出して襲おうとしているようで、捜索隊などを各地に派遣しているようだが・・・それは、全くの無意味だ。


 そもそも、俺たちはこの大陸に存在していない。俺たちの国”翼人国家日本”は、元々何も・・・・なかった海に・・・・・・島を作り・・・・、”認識阻害”の結界で封じてあるからだ。どうやらこの世界には大陸は一つしか無いらしく、小さな島々が広がっている以外、残りは全て広大な海らしい。その中から、”認識阻害”を掛けられた、たった一つの人工島を発見するなど不可能だ。砂漠の中から一粒の米を見つけるような所業だろう。


 移動には、三島澪みしまみおさんの”空間連結”を使用しているから、足跡を辿られる事も無い。・・・この”空間連結”は、かなりのチート能力だった。自分の知っている場所同士を連結させる能力なのだが、”テレポート”とは違い、空間自体を繋げるので彼女以外も使用出来るのだ。この能力の御陰で、『牧場』襲撃は楽々だった。


 先ず、織原千夏おりはらちなつさんの”アーカイブ”というチート能力によって、『一定以上『翼人』に対して肉体的、精神的に苦痛を与えている人間』を検索する。そいつの居場所が分かったら、今度は一星一人いちほしかずとさんの”千里眼”によってその場所を見る。その映像を、月一文香つきいちふみかさんが”シェアリング”によって、三島澪さんに伝える。これでその場所は『知っている場所』として澪さんに登録されるので、”空間連結”によって直接襲撃出来るというわけだ。






 この人工島は、出来立てホヤホヤなくせに、この世界の何処よりも進んでいる。だって、住んでいる人間全員が元日本人なんだぜ?知識もあるし、技術もある。更に、『翼人』としてのトンデモ能力まであるんだから、発展するのに殆ど時間は掛からなかった。


 既に、オリハルコンで出来た家々が立ち並ぶ住宅街も出来ているし、病院や学校なども建設中なのだ。”植物成長促進”の力によって、野菜や果物は一日足らずで収穫出来るし、余った作物を使用して動物の飼育も始めた。武具や防具は”想像金属創造(”オリハルコン作成”だと誤解されていた能力)”によって簡単に用意出来る。既に銃器の試作品も作っている。・・・正直、面倒くさい手順を踏まないで、世界征服しちゃえば早いんじゃね?と思う人もいるだろう。


 ・・・だが、それは出来ない。忘れてはいないだろうか、【魂が摩耗する】というルールを。俺は、未だにこのルールを変更出来ない。今は、少しレベルが上がって、皆の前世の名前を見ることが出来るようになった(何故か、全員覚えていなかったのだ。何時までも005番~とか番号で呼ぶのは嫌だったので、皆には前世の名前を使って貰っている)。このルールは余程強固にロックが掛けられているようで、今の俺の力では全然足りないのだ。


 幸い、俺がルールを変更することさえ出来れば、グノーが摩耗した魂を元の状態へと戻してくれるらしいので、そこまで心配はしていない。あまり派手な使い方をしない限りは安全らしいし、日常生活ではそこまで強く能力を行使することは少ないので、殆ど摩耗しない。だが、戦争となると話は別だ。手下限ナシで能力を使用しなければならないだろう。すると、魂が減るスピードが早くなり、結果俺たちの戦力低下に繋がる。


 『翼人』を救っていけば、俺の能力を使用する回数も増え、経験値が貯まる。そうしていけば、いつかはこのルールも変更出来るようになるだろう。


 心配していた瞳の事も、”アーカイブ”によって発見することが出来た。・・・だが、瞳自身が発動させた能力、”拒絶結界”のせいで、俺は触ることすら出来ないことが判明。俺のレベルが上がればこの能力を解除することも出来るらしいし、今のところ彼女に危険は無いので、先にやるべきことを済ませよう。


 ・・・・・・正直、裸の彼女をそのままにしておきたくはないんだが、触れないんじゃ仕方ないしな。このことを思うと腸が煮えくり返るが、この怒りを爆発させるのはまだ早い。俺たちをこんな風にしたこの世界の神とやらを殴り飛ばす為に、今は力を蓄える時なんだ・・・・・・。




今回の話で出てきた能力の具体的な解説コーナー。



・”空間連結”


三島澪の能力。

場所と場所を直接繋げる事の出来る能力。この能力は、所謂某青いタヌキ型ロボットの秘密道具である、ピンクのドアと同じような物だと考えればいい。違うのは、繋げる事の出来る空間の大きさ位。アチラはドアの大きさだが、此方は数百メートル単位で繋げる事も可能。ただし、魂の消耗は激しい。



・”アーカイブ”


織原千夏の能力。

この惑星で起きた全ての事象を検索することの出来るチート能力。能力を使用すると、パソコンの画面のようなウインドウが空中に浮かび、そこに知りたい事柄、知りたい月日を入力することで検索が可能。

今現在は、『『翼人』に対して一定以上の肉体的、精神的苦痛を与えている人間』という条件で検索しており、それに引っかかった連中を襲撃している。

この能力の凶悪な部分は、『その事象が起こってから一秒でも過ぎていれば、それは過去の事象』だと認識出来る部分である。つまり、たった今この瞬間起きている出来事も、一秒でも経っていれば知ることが出来るということである。

戦争などでは、敵の作戦なども知ることが出来るため、非常に凶悪な能力である。



・”千里眼”


一星一人の能力。

名前のままの能力である。距離、障害物に関係なく、あらゆるものを見る事が出来る。魔術などで妨害されていようと無駄な為、使い勝手は良い。



・”シェアリング”


月一文香の能力。

他人と五感や記憶を共有することが出来る能力。複数の人間に対して同時に共有することも可能。ただし、脳が処理出来ればの話だが。



・”植物成長促進”


この能力を持つ『翼人』は複数いる。どうやら、彼らの能力もレアなものとそうでないものがあるようだ。

この能力は、その名の通り植物の成長を促進させる能力である。大抵の植物は、一日有れば収穫可能になる。

しかし、”植物操作”のように、植物を操る力ではなく、あくまで成長を促進するだけの能力なので、戦闘には使用出来ないだろう。



・”想像金属創造”


黒鵜宗二の能力。

当初は”オリハルコン作成”だと思われていた能力であったが、それよりも更にタチが悪い能力であることが判明。

彼の思い描いた金属を創造することが出来る。熱に強い、冷却に強い、ゴムのように柔らかいなど、色も形も特性さえも、彼の思った通りの金属を作る事が出来る。

作った金属は、彼の思い通りに動かす事が出来るため、戦闘でも威力は十分である。



・”拒絶結界”


西条瞳の能力。

この世界に連れてこられた彼女が、生前周囲の人間に受けた仕打ちと、突然目の前に居た見知らぬ男(ファン11世)に怯えて発動した能力。

彼女が許可した者以外、如何なる存在も彼女に触れることは不可能になる。それは、例え神であろうとも例外ではない。

翼がこの世界に来ることなど考えて居なかったことと、彼女自身能力を把握しきれていなかった為、彼女は全てを拒絶して能力を発動してしまった。その為、現在の翼でも触れることは不可能である。

この結界に包まれている間は、例えこの惑星が消滅したとしても彼女だけは生き残る。・・・しかし、永遠に歳を取らず、眠り続ける事になるだろう。





という訳で、能力の説明でした。作中で説明するのが難しくてこのような形となりました。これからも新しい能力が出てきたらここで説明すると思います。

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