第4話 授けの儀
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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第4話 授けの儀
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「ねえ、エフィス」
犬獣人のプライ姉さんが猫なで声を出してきた。
いったいなんだろうか?
「何、姉さん」
「私にも魔法を教えてよ」
「領主様のところで教えてもらっているんでしょ?」
「あの人たちの説明はよく分からないのよ。だから、お・ね・が・い」
すぐ上の姉ということもあり、俺と過ごした時間が長いだけあって色々世話になっている。
教えてあげたいが、どうしたらいいのか。
「うーん、回復と雷属性だよね?」
「そうよ」
回復といったら、人体の構造か?
細胞を活性化させて傷口を塞ぐだけじゃだめだよね?
傷口から雑菌やゴミが入っている可能性も考えて、洗浄と消毒効果も必要だ。
俺は地面に絵をかきながら、ブツブツ言う。
「これ、何」
「人間を作っているもの。傷はこれが活発に動いて塞がる」
「へー、そうなんだー」
「こっちはなに?」
「傷口から入ったゴミをやっつけないといけないでしょ。これをやらずに傷を塞いだら、ゴミが中に閉じ込められて後から化膿したりするんだ」
「ほー」
プライの目がキラキラしている。
試したいようだけど、試す相手がいないんだよ。そう都合よく怪我人が出てくれるわけがないんだ。
「いってー!」
「っ!?」
「………」
長男のクルサが薪割り中に薪が足に当たって血が出ている……。
おい、クルサ君や。そこまで自己犠牲の精神は要らないんだよ?
「兄さん、ちょっと待ってね!」
プライはすごく嬉しそうだ。
兄が怪我をしたのが、そんなに嬉しいのか?
駆けていき、クルサの怪我に両手をかざす。
今の説明で回復魔法が発動するわけ……あったよ。
俺の兄姉たちは、あんな説明でよく魔法が使えるな。俺のほうが信じられないよ。
「お、痛みが引いたぞ! それに傷もなくなった! プライ、ありがとうな!」
「いいのよ! また怪我をしたら、治してあげるから!」
それはもっと怪我をしろという催促ですか?
その後、雷について説明したら、それも魔法が使えた。
雷魔法は摩擦で静電気を起こして説明したら、理解したようだ。
プライ、優秀すぎるよ……。
もちろん、《魔力操作》と《身体強化》を教えた。
そして倒れた。
「ぎもぢわるいー」
「がんば」
「気軽に言ってー」
それから1カ月もすると、普通に魔力を循環できるようになっていた。
◆◇◇◇◆◇◇◇◆
俺は13歳になった。
三女のプライは去年王都に向けて旅立った。領主の推薦で無事に国の魔法師団に入ったらしい。
そして、俺の授けの儀。
教会で女神様に祈ることで、魔法属性と魔力を授かる。
「エフィス。クラーディスを呼び出しなさい」
クラーディスというのは、俺の個人情報が読める不思議アイテムの皮紙だ。
いつでも呼び出せて、同じように消せるもので、授けの儀の前では名前、年齢、性別、スキルが表示されている。
そして、授けの儀の後になると、上記以外に魔法属性と魔力、血の濃さを見ることが可能になる。
なぜか血の濃さが授けの儀の後に分かる不思議仕様だ。
クラーディスには、女神様にもらった通りの情報が記載されていた。
ただ、血の濃さは女神様に聞いておらず、この結果は少し意外だった。
・猫人族 81
・森エルフ族 18
・犬人族 1
俺は猫人族の先祖返りなので、猫人族が70から80くらいになるのは、ある程度予想できた。81と数字は予想と大きく外れていない。
だが、森エルフ族は驚いた。たしかに兄姉にも森エルフ族の血は出ていたが、それは1や2といった小さな数字だった。
森エルフ族の血がここまで多いと、俺は長生きできるかもしれないな。
俺はしれっとスキルの欄を消した。これは他人からも見えるものなので、情報を任意で消すことが可能だ。
その状態で神父様に見せた。
「エフィスの属性は結界。魔力は……」
その溜めは要らないから。
どうせ雑魚とか思っているんでしょ、神父さん。
「魔力は110……結界は珍しい属性です……」
珍しい属性だけど、使えない属性って言いたそうな顔をするんじゃないよ。
たしかに、女神様も最弱の魔法とか言っていたけどさ。
「エフィス。めげずに頑張るのだぞ」
「はい。神父様」
いい笑みを浮かべて返事をしてあげたよ。
だって、これでやっと魔法が使えるんだもん。
最弱の魔法だって、俺には転生時に女神様に色々確認したアドバンテージがあるんだ。
それに最弱だから、プライのように領主様や国に目をつけられずにすむじゃないか。
家に帰ったら、両親に慰められた。
「結界魔法だって使い方次第よ、エフィス」
母が抱きしめてくる。
タップ、タップ。息ができません!
「そうだぞ、気にするな。お前は俺のように料理人になればいいんだ」
父が肩をポンと叩いてきた。
「俺は冒険者になるから、間に合ってます」
「「え!?」」
一瞬の静寂。
「いやいやいや、結界魔法だぞ。冒険者なんて無理だ!」
「そうよ、エフィス。結界魔法なのよ!」
父と母が必死に引き止める。
「大丈夫だよ。冒険者は冒険者でも、俺は薬草採取のプロになるから」
「薬草って、そんなんで稼げるのか?」
「そうよ。薬草採取だって、そんなに簡単じゃないんだから」
「ラルー姉さんにたまについていって、薬草採取は教えてもらったんだ。それに俺は筋がいいって褒められたよ」
「それは子供にしては、筋がいいってことでしょ。それに冒険者なら、魔物と戦うことになるわよ」
「魔物とは極力戦わないから、大丈夫」
そんな感じで両親の説得にも応じず、俺は冒険者ギルドに向かった。
なんと親不孝な子供かと、自分でも思うよ。でもさ、これは転生した時にすでに決めていたことだ。
冒険者以上に俺を引きつける職業があるならともかく、現状はそういうものはない。
冒険者ギルドは木造2階建てで、1階は広めのフロアで、半分ほどが飲食スペースになっている。
テーブルセットがいくつも置かれ、そうでないスペースにはカウンターがある。
カウンターには、人族の女性とエルフの女性が座っている。
あのエルフの女性はすごい魔力量だ。《魔力感知》を持ってなかったら、スルーしていたところだ。
おそらくプライ姉さんよりも多い。800かそれ以上はあると見た!
そんな化け物のような魔力を持つ人が、なんでこんな田舎町の冒険者ギルドなんかで受付嬢をしているのだろうか?
何かやって逃げてきたのかな。
ま、人には言えない過去の1つや10くらいはあるだろう。
《魔力感知》なんか持ってないだろって?
それが持っているんですよね。
《魔力操作》で魔力をグリグリ回していたら、アナウンスがあったんだ。
【《魔力感知》を覚えました】
女神様の声だったけど、澄ました声だった。
実際に会ったことがある俺からすると、少し違和感がある。
あの女神様、よく言えば前世にいたギャルっぽいんだよね。
澄ました声が聞こえた時は、思わず笑ってしまったよ。
それはともかく、今は冒険者登録だ。
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【魔 法】 結界魔法
【魔 力】 110
【ユニークスキル】 《魔法消費魔力10分の1》《魔法効果10倍》
【感知スキル】 《魔力感知II》
【補助スキル】 《身体強化II》《魔力操作III》
【特殊スキル】 《生活魔法III》
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