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そのお申し出・・・

本日の投稿で本編最後になります。

「楓ちゃんどうしたの?」


さくらが部屋の片づけをしていると、姪の楓が部屋に入って来た。


「きたの」

「そう」

「さくらちゃんはなにしてるの?」

「お片付け。そうだ、ほしい本があったらどれでもあげる」

「ほんと!」

「うん」


押入れから出された沢山の本の中には、五歳くらいの子供が喜びそうな絵本も沢山ある。それらは、さくらが小さい頃読んでいた本が全て捨てずに大事に持っていた本の山。


「楓さくらちゃんの邪魔はだめよ」

「義理姉(おねえさん)、早かったね」

「そう?もう夕方よ。楓邪魔でしょ、ごめんね」

「今、楓ちゃんにほしい本があったらあげようと思って」

「えっ?でも全部さくらちゃんが大事にしてた本じゃないの?」

「そうなんだけど、もうおとぎ話は卒業しようと思って。だから、ここのは全部捨てるつもりだから」

「そうなの。楓、全部はおうちに入らないから五冊までね」

「えー」

「おうち入らないでしょ」

「いやだ!」

「だーめ!」

「それじゃ、五冊だけおうちに持って帰って、他のはココにおいて置くから好きな時におうちの本と交換したり、ココで読んだりしたら?」

「うん!」

「いいの?」

「うん。この部屋には自由に入って構わないから」


楓は、嬉しそうに本を選ぶと部屋から出て行った。


おとぎ話は、王子様と結ばれてハッピーエンド。その先、その地位に着いた時の責任の重さなんかは書かれてない。だから、憧れて夢を見れたんだよね。

いざ自分が王子様と結婚できるってなった時に断ってしまったのは、現実が見えてる年齢だったから。自分には無理だと瞬間的に思ってしまったから。


”「殿下が殿下でなかったら、さくら様は今ここにはいない」”


イムレ様が言ったあの言葉は、わたしが王太子様を好きだと見透かされていたから、あんな事をわざわざ遠回しに聞いたんだ。

わたしは、王太子様を王太子様として見て接してた。でも、王太子様を好きなんじゃなくてアールヴが好きだった事を見抜かれていた。王太子との結婚は嫌だけど、アールヴとは一緒にいたかった。

イムレ様はそのことに気付いてたから、アールヴに王太子と言うフィルターがなければ、自分の気持ちを否定しなかったのかも・・・でもあの時、自分が妃殿下になりたくない気持ちが方が勝っちゃった・・・わたしは嫌なものから、逃げた。

そして、会えなくなって自分の中にどれだけアールヴがいたのかに気付かされた。



夜。

森家では、毎年庭の桜の木で花見の好例行事が行われる。

バーベキューや寿司、御惣菜、お酒などが用意され、陽が落ち暗くなると来た人から好きに始めるのだ。


「毎年の事だけど、夜は冷えるますね」

「本当に」

「満開の時期がもう少し暖かければいいんでっすけどね」

「そうね、だけどさくらが小さい頃は花のつぼみが一輪開花したらはじめてた時があったのよ」

「なんでまた?」

「さくらの名前の由来が、この桜の花が一輪開花した時だったから、お父さんがそうしたんだけど、やっぱり寒いし花見には寂しいじゃない。だから、また満開の時にするようにしたのよ」


さくらの母親とさくらの義理の姉が話しをする。


「適当にお肉とか持ってきたから食べよう」


バーベキューの所から焼けた肉、ソーセージ、野菜などを持って女性人のいる場所へやってくるさくら。


「ありがとう」

「ありがとうさくらちゃん」

「いえいえ」


「あっ!」


楓がさくらの方を指さし驚いたように声を上げる。


「どういたの楓?」

「ん?何??」

「さくらちゃんのイヤリングのいろが」


えっ?


楓の言葉に皆が手を止め、さくらの方を向き、さくらは耳に着けていたイヤリングの片方を外しそれを見ると、黒い石が少し明るくなっているように見えたので、月にかざしてみる。


「あっ」

「!?」


かざしたイヤリングの石は、月の光を浴びると一気にダイヤモンドの様な透き通った透明な色へと変わっていった。

全員が言葉を失い、唖然と石を見る中、さくらは石の先に目が釘付けになる。


「満月だ」


小さくつぶやくさくら。




少し前の異世界。


湖。

「・・・さくら殿に一つお願いがあるのだが」

「無理な事でなければいいですよ」

「私(・)と(・)ポ(・)ス(・)の(・)対(・)戦(・)を(・)お(・)願(・)い(・)で(・)き(・)な(・)い(・)だ(・)ろ(・)う(・)か(・)?」

「いいですよ」


執務室。

「私の今日の仕事は終わっているから、後は頼む」

「どちらに?」

「午後は休暇だ」

そう言うと、アールヴは部屋を出て行った。


午後アールヴがむかったのは、西の庭園。

そこには、さくらが待っていた。


「待たせてしまって申しわけない」

「いいえ、王太子様。王太子様今までのお礼にクッキーを焼いたのでよかったら食べてください」

「ありがとう。後でいただこう」

「あの、イムレ様にも渡してもらえませんか?渡す機会がなかったので」

「あぁ、わかった」


クッキーの包まれた箱を二個受け取ると、テーブルにポスの盤を置き駒を並べる。

アールヴの先手で始まり、駒を手に取り動かすと、本来ならそのまま駒を置く所なのだが駒を置かず横にして置いた。


「えっと?」


さくらが困惑し駒とアールヴを交互に見る。


「これは、ゲームを中断する時にこうするのだ」

「そうなんですか・・・」


始めたばかりで中断?何か用事でもできたのかな?


「さくら殿」

「はい」

「さくら殿は元の世界に責任を持って帰す。そして、私はまた満月の夜に儀式を行うつもりだ。私は、さくら殿の事が好きだ。もしまたさくら殿が呼び出されたなら、私の妃になってほしい。そして、このゲームの続きをしてもらいたい。返事は、満月の儀式の日にほしい」


”それまでの間だけでも、希望を持たせてもらってもバチはあたらないだろう”




満月の儀式の日。

部屋には月の光が満ちあふれる。

部屋に居る全員が、王室史上初の二回目の儀式で誰が現れるのかと興味深々の中、儀式は行われた。



さくらの実家。


その場に勢いよく立ち上がると、皆の視線が石からさくらへと移る。


「あの、わたし、作り話しでも妄想でもないの!向こうの世界に好きな人がいて、だからごめんなさい!もう逃げて後悔したくなくて!!」


さくらが家族に言い終わる前に、突然光に包まれて、その場から突然消えていなくなってしまった。



儀式の間。

儀式が行われ、強い月の光と共に部屋全体をピンク色した花びらが舞い散り、皆が何事か!?と驚く中、部屋の中央に人影が現れた。

部屋に居た全員がどんな人物か見ようと注目する中、アールヴは中央の人物の元にゆっくりと歩いて近づいて行き、人物の顔を確認すると突然走りだし、その人物の前で立ち止る。


「あの、ゲームの続きをしようと思って」

「あぁ」

「会いたかったの」

「私も会いたかった」

「わたし、アルとずっと一緒にいたい」

「愛してる、さくら」


照れながら自分の素直な気持ちを言うさくらに、嬉しそうにさくらに優しい笑顔を見せるアールヴ。

そして、アールヴはさくらを抱きしめた。

書き馴れて無く読みにくい所などもあったと思いますが、読んで下さった方々には本当に感謝しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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