街2
ここは、貴族、貴族の家系に連なる者が通う学校。
主に10~18歳が通い、自分の屋敷から通う者と寮に住む者がおり、寮生活の人間は親又は自分が寮生活を望んだり学校から屋敷が遠いなど様々な理由により寮生活を送っている。
教室と寮は男性、女性が完全に分かれており、理由としては、授業内容が異なること。女性の授業が主に礼儀作法などの淑女としての教育。唯一、ダンスの時間は男女合同で行う事がある。
食堂、庭などの場所は男女共有だ。
皆が18歳まで通うというものでもなく、領地に帰らなければならなかったり結婚が決まったりなどの事情により卒業まで在学しないのも珍しくはない。
最上学年女性の教室。
「明日はお休みですし、街にでも出かけませんこと?」
「いいですわね」
「最近新しく出来たカフェがとても人気らしいですわ」
「ではそこに行きませんこと?」
お友達同士で遊びに出掛ける相談をする女性たち。
「では、ワタクシがそのカフェを予約しておきますわ」
「いいんですか?」
「もちろんですわ」
「ありがとうございますグリメルダさん」
侯爵令嬢グリメルダと他の令嬢2人が街へ遊びに行く事になった。
約束当日。
グリメルダは自分の家から馬車で、他の二人は寮から馬車で街にある馬車や馬を止めて置く場所へ来ると、その付近で待ち合わせをしていたので合流する。
「お待たせしました」
「こんにちは、グリメルダさん」
「こんにちは、グリメルダさん。こちらが早くついてしまいましたのよ」
「まだ時間ではございませんわ」
「遅刻しなくてよかったですわ」
三人は話しをしながら街を歩き、アクセサリーなどを取り扱っている店の一つに入る。
「いらっしゃいませ」
ひんの良さそうな五十代くらいの店主とご婦人、三十代くらいの男性が三人にお辞儀をしあいさつをする。
店は貴族御用達で、落ち着いた内装に奥にはソファでゆっくりとできるスペースが用意されおり、そこへ通されソファに座る三人。
「本日はどのような物を見られますか?」
「ワタクシは、普段使えそうなブレスレットはないかしら?」
「私も普段使えそうな髪留めはないかしら?」
「お二人がお買いになるのでしたら、私もなにか、この服に合うブローチを」
「お持ちしますので少しお待ちください」
三人は馴れた感じで伝えると、一旦店主が下がり、店主と婦人が品物を見繕って三個の箱を持ってやってくると、それぞれの座るテーブルの前に一個づつ箱を置く。
箱には5~7個くらいの品物が入っている。
「どうでしょうか?」
「素敵ですわ」
「やっぱりこの店はセンスのよい物を用意してくださいますわね」
「ありがとうございます」
褒められると、店主がお礼を言う。
「どれがいいかしら?」
「全部ほしくなりますわ」
「本当にそうですわね」
そんな事を話しながら、楽しそうに鏡にアクセサリーを身に着けた自分を映したり、お互い意見を言い合ったり楽しくおしゃべりをしながら買う物を決めると、皆その場で身に着けることにした。
次に向かったのは、予約した今日の目的地。
人気なのか行列ができているが、予約したグリメルダ達は並ばず店に入る。すると、店の責任者が奥から現れ、丁寧に挨拶をし、自ら二階テラスの通りが見える席へと案内された。
「ここのお奨めはハーブを使ったお茶なんですって。ハーブによってお茶の色が違うんですって」
「そうですの。それではそれにしますわ」
「私もそうしましょう。どのハーブがいいかしら」
皆、ハーブティーとハーブを使ったケーキを注文。
「そのブレスレッド石の形をそのまま利用したなんて素敵ですわね」
「えぇ、それに一点ものって所が気に入ったんですもの」
グリメルダが自分の手首に付けたブレスレットを嬉しそうに触りながら話をする。
「お二人もよくお似合いですわ」
「ありがとうございます。でも皆さんと買い物に来ると一緒に選んでもらえるのっていいですわね」
「そうですわね。意見を言ってもらえるのはとてもよかったですわ」
「自分で選ぶと同じ様なものばかりになりがちになってしまいますものね」
「そうなんですよね」
ケーキとお茶が運ばれて来るとローズピンクに水色、ラベンダー色のお茶に喜ぶ皆。
「あの方、もしかして異国の方かしら?」
「どの方ですの?」
「あそこに並んでいる方ですわ」
通りをはさんだ店も人気なのか外にまで行列ができており、その中にこの国とは違う顔立ちの人が居るのを見つけると物珍しさのあまり思わず見てしまう。
「黒髪の方?」
「そうですわ」
「ワタクシ達とは違う顔立ちですわね」
「本当に珍しい。華やかな感じではなく落ち着いた雰囲気の感じですわね」
「異国の方を見るのは初めてですけれど、異国美人な感じですわ」
異国の人を見ていたグリメルダがその隣りにいる男性に気付くと思わず二度見をした後、ジーっと覗き込むように見つめる。
そんなグリメルダに気付いた二人はお互い顔を合わせた後グリメルダの方を見ると、グリメルダがポツリと小さくつぶやいた。
「アールヴ殿下・・・」
その言葉にまた二人が顔を見合わせ、グリメルダが見ている方をみる。
「異国の方の隣りの方ですの?」
「確かに髪の色は似てますわね。けれど、殿下が食事をなさるのに並んだりしますかしら?」
「そうですわよね。それに、お忍びにしてももう少し質の良い服を着るのではないかしら?」
「・・・それもそうですわよね」
グリメルダは気のせいだと言われそれを信じたいのもあったが、ここで騒いでも何ともならない、むしろ自分の侯爵令嬢の肩書を下げるだけだとわかっていたので二人と話しを合わせて、自分の気のせいだとすることにした。
ただ、ずっとアールヴを見て来て、王太子妃になる事を信じて願っていた自分が間違うはずはない、今庶民の服を着て、異国の女性と居るのはアールヴだと言う確信はあった。
王都侯爵邸 グリメルダの部屋
「やっぱりあの時の女だったんだわ・・・アールヴ殿下とあんなに親しそうにして!何が落ち着いた雰囲気よ!!何が異国美人よ!!!単なる地味女じゃないの!!!!」
お読みいただきありがとうございます。




