お茶会
お茶会は不定期に行われる王妃主催のプライベートの行事なのだが、実情は2~3か月に一度くらいの間隔で行われている王妃の仕事の一つとなっているのが実情だ。
王妃の選んだ5~10人ほどの、貴族、貴族の称号がなくても親が貴族の人間などが集まり、噂話し、その真意、情報収集などをしながら(建前上)楽しく過ごす。もちろん、殆ど聞き手に周り楽しんでいるものもいたりする。
参加者の殆どが社交性があり場馴れしているため、遠くから見れば皆笑顔で笑い声の聞こえる楽しいお茶会に見えること間違いなし。
お茶会前日。
部屋に、王、王妃、アールヴの三人が浮かない顔をして話しをしていた。
「母上、今回はご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「迷惑なんて掛かってないわよ。お茶を飲むのは好きなのだけれど、この仕事は毎回憂鬱なだけよ」
「この婦人方のお茶の時間も最初は本当に親しい人を呼んで楽しんでいたらしいが、何時の頃からか呼ばれぬ者からの不満で色々な者を呼ぶようになったらしい」
「らしい?父上の頃にはもう?」
「そうだな、子供の頃にはそうだったからな」
「そうですか」
「けれど今回は、さくら殿の事で・・・」
「あら、王太子妃の事は誰もが気になることよ。さくらさんはとてもいい娘さんだと思うわ。私個人的にも好きですもの」
「彼女にはとっくに王太子妃は断られてますよ」
王妃の言葉に苦笑するアールヴの表情に王と王妃は少し驚いた後お互い顔を見合わせて微笑み合う。
「そうだな。だが、そのことはまだ知る者は殆どいない。さくら殿が元の世界に帰るまでは、はっきりしたことは何も発言しないようにするのが一番いいだろう」
「そうですね、父上・・・」
アールヴは下を向きため息を付くほど気持ちが沈んでいるのに対し、王と王妃はいつもの様に笑顔で話しをする。
お茶会当日。
さくらとアールヴは王宮の呼ばれた人達が来る前に出掛けて行った。
王妃は今日のホストとして準備をする。
天気がいいので、部屋の窓からは庭園を見ることができ、庭園に出ることも出来る部屋、外の風が入って来るように外へのガラスの扉を開く。
お茶会に呼ばれた人達が馬車でやってくる。
「侯爵夫人、本日はようこそおいで下さいました」
「今日はとても楽しみにしてましたのよ」
侯爵夫人は馬車から降りると、正門で出迎える王妃の筆頭侍女。
「お部屋で妃殿下がお待ちになられておりますのでご案内いたします」
侍女の後ろに控えていた他の侍女が案内をし、筆頭侍女は他の方々の到着を待つ。
「伯爵婦人、ようこそおいでくださいました」
「連隊長婦人、ようこそおいでくださいました」
一人づつ丁寧に出迎え、計六人の婦人を出迎え終わると、最後に来た婦人を自ら案内し王妃の元へ向かう。
部屋の前まで来ると、扉をノックし扉を開くと王妃に一礼する。
「辺境迫婦人がおいでになりました」
「ようこそ、これで皆さん揃いましたわね」
「王妃様、本日はお招きいただき有難うございます」
辺境伯婦人がカーティシーをして挨拶。
「皆さんお揃いになった所で始めましょうか」
王妃がそう言うと、部屋の中央に用意された円卓のテーブルの席に座る。
テーブルの中央には朝庭から摘んできた草花が婦人方の顔を見るのに邪魔にならないよう低く飾られており、そこへ侍女達がお茶とケーキ、クッキーが運ばれてくる。
「今日は菜園の紅茶を用意しましたの。レモンも菜園のなのでお好みで紅茶に入れてくださいね。ケーキも菜園や牧場のなんですのよ」
「王宮菜園は美味しいとお聞きしておりますので光栄ですわ」
「本当に、無農薬で作られているそうですわよ」
王妃が出された物の説明をすると、口々に褒める言葉が飛び交いう。
そして、最近の出来事、ここには来ていない貴族の噂話し、家庭事情、恋愛、この場に居る人や家族の褒め合い、子供の話し、など穏やかに時間は過ぎていく。
「王妃様、今日は王太子妃様も参加されると思っておりましたのに」
王妃の隣りに座っていた侯爵夫人が聞いた途端、皆がおしゃべりを止め手に持っていたカップを置き、一斉に王妃に注目する。
「そうでしたの」
沈黙。
「えぇ、どのような方なのか知りたいですものね。皆様もそう思いませんこと?」
「そうですわね」
「まだ、お披露目もまだですし」
侯爵夫人が皆に同意を求めると、他の人達も気になっているのか周りを気にしながら同意ととれる言葉を言う。
「王妃様、王太子妃様はこの国の人ではないとの話しがあるのですけれども本当でしょうか?」
「そうなんですよ。ですので、こちらにまだ慣れてないので時を見てと思っていますのよ。あまり、急いでは良い結果にならないでしょうし」
辺境伯婦人の言葉に、そこまでの情報が流れているのなら全く無視をすることは難しいと思いもっともらしい返事をする。
「そうでしたのですね。娘もとてもお会いしたがっていましたので、今日お会いできたら娘に話してやりたかったのですわ」
「王太子妃様は時がくればお披露目されますわ。それまで楽しみに待ちましょう」
侯爵夫人が残念そうにする中、連隊長婦人がこの話題を畳かける。
連隊長婦人と言う身分は高くはないが、元は王族の出で連隊長は公爵家の二男、そして準男爵の身分。そんな人物がこの話題を終わらせたので他の誰も反対することはできない。
お茶会が終わり、全員を見送る。
「王妃様」
帰ったはずの連隊長婦人が部屋を訪れると王妃は笑顔で出迎える。
「リグザ、王妃様なんてやめてよ」
「イロナ、お疲れ様」
「今日はありがとう」
「このくらい何でもないわ。それより、侯爵夫人の令嬢は相当アールヴ様の妃にご執心だったらしいから相当気になっていたみたいね」
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