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047

 ――ぼくはゼルダへ、ぼくが感じたすべてのことを話した。

 お父様は間違っていること、ぼくらのしたことのせいで、悲しむ人が居ること。

 もしかしたらお父様に告げ口をするかもしれないから、地下三階のことと、脱走のことは言わなかったけれど。

 ある程度を話し終わると、少しの沈黙の後、ゼルダは短く返事をした。


『ふうん』


 それだけ。

 あまりに素っ気ない言い方に、ぼくはまた少し頭にきた。

「なんだよ、何か感じないのかい?」

 ぼくが顔を顰める。

 すると、ゼルダは驚くべき返事をした。

『当たり前のことを、言われてもな』

 パチパチとキーボードが音を立てる中、ぼくは呆然としていた。

 見つめる緑色の文字が、グラデーションに揺らぐ。

「今、何て言った?」

 ぼくは思わず、苦笑いをして聞き返した。

『当たり前のこと、そう言った』

「なんだって!? じゃあ、君はもう前からそれを知っていたって言うのかい?」

 ぼくは思わず立ち上がり、噛みつくように大声を出した。

 そんなぼくに、ゼルダが迷惑そうに唸る。

『君は、そんなことまで置き忘れていたのかい?』

 ゼルダが、ぼくをさらに苛立たせる言葉を吐く。

「ぼ、ぼくはヴォルトから聞いたんだ! だ、だから、も、もう」

 混乱と怒りのあまり、指先が震える。

 何もかもが詰め込まれたように膨らむ頭の中。見開いた目玉が飛び出そうだ。

 だって、ぼくはあれほど悲しみ、深い罪悪感を負い、今までどれだけ苦しんだことか。

 それなのに、“ぼく”であるゼルダは、たった一言――しかも、それが当たり前のことだって?

『お父様から聞かされたじゃないか。変化に犠牲はつきものだって』

 ゼルダがパチパチとキーボードを素早く音を鳴らす。

 光る文字がぼくの怒りを煽る。ぼくは震える腕を押さえ、首を横に振った。

「うそだ。ぼく、そんなこと聞いていない」

 ぼくは言う。

 ぼくの言葉を聞いた後、ゼルダはまた嫌そうに唸った。


『本体に置き忘れて、覚えてないだけさ。ぼくらは最初は同じものだったんだ』


 ゼルダが止まることなく、素早くキーボードを打つ。


『お父様は、ぼくらのためなら、増えすぎた人間の一人や二人、消したっていいと言っていた』



『お父様はいつだってぼくらのことを大切に思っている』



「間違ってる!」

 ぼくは叫んだ。

「この世界に消えていいものなんかないんだ! だから、ぼく、ゼルダを壊しちゃったときは、本当に後悔したんだ。人だってそうさ! 人が消えたら、絶対に悲しむ人が居るんだ。消えていい人なんか、居るもんか!」

 頭が割れそうだ。

 どうしてわかってくれないんだ?

『わからないよ』

 ゼルダが小さく打つ。

『どうしてそんな事思うのさ? 君の考えって、ぼくらとかけ離れてる』

『君って、ぼくから勝手に独立した、余計なデータと、残り物の集まりじゃないか』

『GXは、ぼくらは、お父様と公司さんたちによって造られた。だから、勝手に独立して、残り物で作られた君は、』



『アラン、君は、ぼくと同じじゃない。ぼくらの仲間なんかじゃないんだ』



 ゼルダの言った言葉が、ぼくを真正面から突き刺した。


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