58.夏休みの過ごし方
夏休み。
最高だぜ…。
俺はリビングのソファで横になりながら、
RPGゲームを進めて、飽きたら野球のゲーム。
それも飽きたらスマホを見る。
という自堕落な生活を送っている。
「お兄、まじで暇そうだね」
キッチンに麦茶を注ぎにきた妹から言われる。
「そういう葵こそ何もないのか?」
「…人の心配してる場合?」
「いや、返す言葉がない」
俺はふと、思ったことを口にする。
「中学までは野球やってたから、夏休みの過ごし方わかんないのよね」
妹は「確かに…」と納得していた。
「そういえば柳から葵の中学のコーチみたいなの頼まれたぞ」
「は!?マジで言ってる?」
葵は目を見開いて、俺の方を見てくる。
「おう。これがマジなんだよ」
「……返事は?」
「いや、まだしてない」
葵は、少し落ち着いたみたいで、ソファに腰を下ろす。
「…なんでお兄なの?野球部の人いるでしょ」
「いや、話題になってるらしいぞ野球部で俺…。なんか聞いてないか? 」
「…いや、お兄の事野球部の人達から聞かれる事はあったけど…。そういう事?」
なるほど。そういう事だったか。
俺もお茶を飲もうと思い、冷蔵庫に向かいお茶をコップに注ぐ。
「で、どうすんの?」
葵は俺にコップを差し出して、入れてくれ、といつジェスチャーをする。
「なにが?」
「いや、コーチ。やらないの?」
「うーん……正直やっていいのかなって」
「なんで?」
「いや、なんでって…俺野球から離れて結構経つし、そもそも人を教えた経験だってないんだぞ」
「やりたいんでしょ?」
「……」
「やってよ」
やけにグイグイくるな…。
でも、葵の言ってる事は間違ってない。
俺の気持ちは決まってる。
でも、やっていいかの判断がつかないだけだ。
「まぁ、そうだな。もう1回見学程度のつもりで見てみるかな」
「うん、いいんじゃない。私も見に行くよ」
「なんでだよ。関係ないじゃん…。」
いや、もしかして!?
「野球部に好きな人がいるんだろ!?」
「……は?」
そこから、葵は、バカだとアホだの言ってきて話にならなかった。
好きな人いるなら言ってくれよ。お兄ちゃんがどういう子か確かめに行くからな。
夜、柳にLINEを入れる。
『柳起きてるか?』
送信後、即既読がつく。
『余裕』
なんだよその返し…。
俺は続けて文章を送る。
『この前の話なんだけど、野球のコーチ受けることにした。まだ間に合うか?』
『え!本当に?弟に聞いてみる!』
『おう。ただ、2週間くらいになるけどいいか?』
『大丈夫よ!あんがと』
『それと、俺はコーチじゃなくて、あくまでも手伝いみたいな感じだからね』
『わかってるよ!』
その後少しした後。
柳から自撮りが送られてきた。
家で、「ありがとうございます!」と頭を下げてる優貴君と…。
「……いや、そういう格好で自撮り送ってくるのはどうなんだ」
部屋着姿でピースしている柳だった。




