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薫はまだ夢の中。
ホワイトナイトと握手したまま、
どこかへ落ちていく夢の続きの中。
その外側で、
キム・ジンは静かに、
彼女の“内側の声”を拾おうとしていた。
研究所の空気は、
何も変わっていないようでいて、
確かに揺れ始めている。
まるで、
誰も知らない物語の中心が、
ゆっくりと開いていくように。-
キム・ジンは、
眠る女性の額にそっとヘッドギアを貼り付けた。
冷たい金属が肌に触れた瞬間、
ほんのかすかな反応が脳波モニターに揺れとして現れる。
キム・ジンはその揺れを確認しながら、
ヘッドギアのケーブルをPCのターミナルへ接続した。
カチ、と小さな音。
それだけで、
無菌室の空気が少しだけ変わったように感じられた。
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モニターが淡く光り、数値が流れ始める
複数のモニターがふわっと明るくなり、
脳波の波形や、
神経反応の微細な数値が静かに流れ始める。
どれもまだ意味を持たない、
ただの“揺れ”のようなもの。
けれど、
その揺れの奥に、
何かが眠っているような気配があった。
キム・ジンは、
オーバーヘッドホンをゆっくりと装着する。
外の音が消え、
機材の微かなノイズだけが耳に満ちる。
人工皮膚の両手が、ふいに動き出す
ワゴンの端に置かれた人工皮膚の両手。
本来はアンドロイドの触覚テスト用で、
ただの“部品”のはず。
なのに——
その指先が、
ふわりと震えた。
まるで、
水面に落ちた小石が波紋を広げるように。
キム・ジンは息を呑む。
人工皮膚の手は、
何度も、何度も、
にぎり返すように動いた。
指がゆっくりと開き、
また閉じる。
その動きは、
機械の規則性ではなく、
どこか“生き物の反応”に近かった。
キム・ジンの声が、静かに届く
「……聞こえますか」
彼は女性に向けて話しかけたのか、
それとも機材に向けてなのか、
自分でも分からないまま言葉を落とした。
その声に呼応するように、
人工皮膚の手がまたひとつ、
ゆっくりと動く。
まるで、
夢の中で誰かが手を伸ばしているように。
薫の脳波が、
人工皮膚の手を揺らしていた。
研究所の静けさは変わらない。
けれど、
確かに何かが始まっていた。
まるで、
閉ざされた物語の扉が、
そっと開き始めたように。




