7
薫は、
深い水の底に沈んでいるような静けさの中で、
ふっと光を感じた。
気がつくと、
どこか知らない街の広場に立っていた。
風は柔らかく、
空は淡い金色で、
現実よりも少しだけ輪郭がぼやけている。
目の前には、
白いスーツを着た男性が立っていた。
彼は“ホワイトナイト”と呼ばれる人物。
企業を救うために、
時にハゲタカと戦い、
時に彼らを利用し、
薫が何度も助けを求めた相手。
夢の中の彼は、
現実よりも少しだけ優しく、
少しだけ遠い存在に見えた。
「また会ったね」
彼はそう言って、手を差し出す。
薫は自然にその手を握り返す。
温かい。
懐かしい。
安心する。
「今回も助けてくれる?」
そう尋ねると、
ホワイトナイトは静かに頷いた。
「もちろん。
君はいつも、正しい場所に立っている」
その言葉は、
胸の奥にそっと落ちていくようだった。
そして、ふいに足元が消える
握手したままの手が、
急に遠ざかっていく。
地面が、
すっと消えた。
まるで、
夢そのものが薫を手放したように。
ホワイトナイトの姿が上へ、上へと離れていく。
彼は何かを言っているけれど、
声は水の中のようにぼやけて聞こえない。
薫は落ちていく。
どこまでも、どこまでも。
光が遠ざかり、
風が消え、
ただ静かに、
深い闇へと沈んでいく。
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その落下は恐怖ではなく、
むしろ心地よい眠りに戻るような感覚だった。




