0.Prologue
来世こそ、絶対に幸せになる!
そう心に決めて転生した。
守銭奴で、私の時間とお金を徹底的に奪い監視して私を奴隷のように扱った父。和ちゃんだけが私の子供と手取り足取り甘やかし続け、横暴なモンスター兄貴を作り出した母親。そして親の庇護を受けるため私の行動をすべて監視、告げ口しては交友関係を潰したり、悪評を流して私が虐められるように仕向けた兄貴。
襲われそうになった事もあったっけ。
友達や先生、お医者さんにケアマネさん、世間のあらゆる人達から同情されるほどの家族。みんな憐れみの表情で大変ねと言いながら、でも関わりたくないと、みんな離れていく。
そして制限され続けた私は高校に進学できず家の中で家事や家族の世話に追われ、親の代わりに同居していた祖父の介護もする事になって……ある日、両手に買い物の荷物を抱え、よたよたと歩いている所を車に轢かれて突然、17年の人生を終えた。
浮いていたら輝くお姉さんに誘われて、ついて行ったら天界だった。そこでは私の歩んだ人生が動画で流されていて、壮大な憐れみの空気の中で、上から見たその後のあの人達。
私が死んだその保険金で祖父を施設に入れ、兄貴を八浪目の予備校に行かせ、家を新築して。“死んでくれてよかった”と笑いながら家族三人ですき焼きを食べているのを見た時、心の底から解放されてよかったと思った。
それと同時に、もう転生したくないとも。
でも私の魂はその人生で普通の人がする経験や学びをしなさすぎたらしく、経験不足だと……最後にもう一度だけ、転生する事を義務付けられてしまった。
“救いのない人生ばかりではありません。あなたに神の加護を授けましょう”
エコーのように響く言葉を聞きながら、痛みを感じ泣き声を上げる。
「お産まれになりましたわ。とても美しい姫様に御座います」
聞こえてきた声と同時に抱き上げられて宙に浮く身体。新たな人生を歩み始めた私に、リリーという名前が付いた。
まだ何も知らない──無垢な赤子はまたしても、婚約破棄され爵位を剥奪という苦難を味わう事となる。
「あら…なんと愛らしいのでしょう」
数時間後に産まれた双子の妹、ローズによって。
アルファポリスで掲載していたものを、文章を整え、転載しています。




