第23話 見つけた闇
Astro回です
それから居城を探すのに、それほど時間はかからなかった。中心地に木々や草花すらも無い土だけの、砂漠のような場所に出た。生き物一匹と居ない。私とレノ、二人とも緊張していたから少し言葉が少なかった。だが、より正確に中心に行くと私すらすっぽり入る巨大な穴が有った。
「…………」
レノの様子を伺うも、まだ決心は緩かったのかどうなのか。
「私達、負けるわけ無いよ。」
私はそう言葉を送った。何に負けるわけ無いのか。それは人の感受性によるだろう。
「そうだな。そうだったね。」
レノは私の背中を撫でながら笑った。
「俺とルアナは…他のヤツなんかに負けるわけ無かったな!」
「うん!」
その言葉と共に闇の中へ飛び込んだ。強い魔力の壁が有ったりと少しばかりの対策はしているようだ。それに壁や天井もしっかりとした造りで私が暴れても崩れそうに無い。
暫く経たないうちに、レノが無線機で誰かと連絡をしていた。すると、いきなり、様子が変わった。
「おい!大丈夫か!」
思わず足を止めた。
「…………良かった。大魔女さんだったしな、一国の王女にしてな。」
誰の事だろう。私はこの世界の事については素人未満。
「間違えても身体を乗っ取られんなよ。」
レノはそう言うと、通信機能を切った。どうも、これを使いすぎると相手にも場所がバレてしまうだろうとの予測だった。といっても、今や大きなドラゴンとそれに乗った騎士なんだ、見つかるのは早い。
「今の人って、誰?」
「よく知ってるヤツさ。」
「仄めかさないでよ。」
ムスッとして言う。
「まあまあ、凱旋するときにはきっと凄い魔法でも開発してくれるんじゃないかな。」
そう言うとゆっくり首筋に抱きついてきた。ボスへの場所はもうすぐ。地響きのせいで相手に気付かれてしまう反面、まだ準備期間だったならば十分な威圧になる。レノが一旦、私から降りてお腹を撫でてくれる。
「好きなんだ、この触り心地。落ち着くというか和らげてくれるというか。」
「私だってそう。レノだから踏み潰さない。」
共に一歩前に踏み出す。また、一歩。そして、また、一歩。
「……………来てやったよ。嘘つき妖精さんよ。」
「とんだ渾名だな。」
少し、分かっていたりもしている。
もうすぐ終わる。
これが終われば……。
私の、事も。




