1話
はじめまして!これからよろしくお願いします!
夕暮れ時の生徒会室。オレンジ色の西日が差し込む部屋で、生徒会長の凛と、副会長の遥斗は、2人きりで山積みの書類を片付けていた。
学校でも「ちょっと有名イケメン」として女子人気の高いハルトだが、凛にとっては昔からの頼れる幼馴染だ。
ハルトが、書類の束を抱えてふらふらと歩く凛を見て、呆れたように声をかける。
「おい、凛。危ねぇから手伝うよ」
すると凛は、ふんっと胸を張ってお茶目に笑った。
「大丈夫大丈夫!生徒会長としての威厳を見せるのだ〜」
しかし、その直後。凛の足が机の脚に引っかかる。
「あ、」
ドサササッ!と書類が激しく散らばる音。
そして――ドン、と鈍い音がして、凛はハルトを床に押し倒すような形で重なってしまっていた。
静まり返る放課後の教室。2人の時が完全に止まる。
凛の胸が、ハルトの顔にぴったりと当たっていた。
至近距離にある凛の引きつった顔、押しつぶされるような柔らかい感触、そこから伝わってくる体温に、ハルトの脳内は一瞬でパニックになる。
心臓が破裂しそうなほどの沈黙の後、ハルトが必死に理性を保ちながら、凛の体をそっと引き離すようにしてその状況から抜け出した。顔はわずかに赤い。
「……、凛。怪我ねぇか?」
真っ先に自分を心配してくれるハルトの優しさに、凛の顔は一気に真っ赤に染まる。さっきまでの「威厳」なんてどこかに吹き飛んでしまった。
「ご……ごめん……っ」
気まずい空気の中、2人は手が震えるのを隠しながら、黙々と散らばった書類を片付けた。
◇◇◇
ようやく片付けを終えて下校したものの、災難は続く。
凛が家の前でバッグをひっくり返して青ざめていた。鍵を学校に忘れてしまったのだ。しかも運悪く、両親は今日からしばらく家を空けていて誰もいない。
事情を知ったハルトは放っておけるわけもなく、「……はぁ。じゃあ、俺んち来いよ」と凛を連れて帰ることに。
小さい頃から最近まで、お互いの家へのお泊まりは日常茶飯事だった。だからハルトの家に行くこと自体は、いつも通りのこと。お風呂を借りて、ご飯を食べて、そこまではいつも通りの幼馴染の空気だった。
けれど、ついに「寝る時」がやってくる。
ハルトの部屋。ベッドを凛に譲り、ハルトは「いつも通り」床に布団を敷いて寝ようとした。
放課後のあの柔らかい感触が頭から離れないハルトは、一刻も早く電気を消して目を閉じようとする。
その時。
ベッドの中から、服の裾をぎゅっと握りしめた凛が、顔を真っ赤にしてハルトを見つめていた。
「一緒に寝たらだめ……?」
いつも通りのはずだった2人の関係は、こうして甘く危険に幕を開ける――。
第1話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
初日からまさかのベッド合流……ハル太の理性は果たして持つのでしょうか(笑)。
これから2人の甘々でドキドキな同居生活をどんどん書いていくので、見守ってもらえると嬉しいです!
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きなこもちの特大のエネルギーになります!
次回の更新もお楽しみに!




