29.ハッピーハロウィン④
ハロウィン編 ラスト。
トリックオアトリート。
なんとか宝箱を見つけた。
だが、当然のように奴らが大勢待ち構えていた。
『『『トリックオアトリートォォオオ』』』
『『『お菓子くれなきゃ、サバしちゃうぞぉぉおおお』』』
宝箱を取り囲むようにグルグルとまわっている。
サバしちゃう……。
こ、怖すぎる!!
このまま強行突破は絶対ダメだ。
こんな黒魔術の儀式みたいなところに向かっていくなんて、俺にはできない。
サバっていた名も知らぬ街人の顔が浮かぶ。
あんな風には絶対になりたくない!!!
「俺が大きな音をたてて囮になって、何人か引きつける。だから、さくらさんはその隙に何とか魚肉ソーセージを手に入れてくれ」
「……キュイ」
健闘を祈る。
カーンッ!!!ガラガラッ!!!
「ここに人間がいるぞ!!!カワウソども!!捕まえて見ろ!!!」
『『『サバぁぁああ』』』
獲物を見つけた奴らがこちらに走ってくる。
何とか引きつけたが思っていたよりも数が少ない。
頼む!さくらさん!頑張ってくれ!
ーーーーーーーーー
「キュイッ」
「キュイッ」
「キュイッ」
次々と襲いかかってくるカワウソ(偽)を……舞うように躱す人間(偽)。
そしてその光景を、
同じく襲いかかってくるカワウソ(偽)をギリギリで躱しながら……祈るように見守る人間(真)。
実にカオスな空間である。
ーーーーーーーーー
ヤバイ!!さくらさんが捕まる!!!
さくらさんの肩を奴らが掴もうとした、その時!!
シュパッ!!
さくらさんの背中から何かが飛び出した。
「キューーーー」
さくらさん(真)だ!!!
元の羽をつけた仮装に戻ってる。
さっきのは本当に着ぐるみだったのか。
そのままの勢いでさくらさんは、魚肉ソーセージを宝箱の中から取り、神社へと向かって走って行った。
俺も今行くぞ!!
奴らが動揺している隙をついて俺もすぐに後を追った。
「先輩ぃぃいいい」
走り去る時、知り合いの声が聞こえたような気もしたが、気のせいだろう。
……
…………
目的地の神社についた。
「なんとかなったな」
「キュゥ」
これが御神体か…。
ーーーーーーーーー
『さくら像』
とある男の家に住む素晴らしい女性を模した像。
ーーーーーーーーー
さくらさんじゃん!!!
いつのまに御神体扱いされてんの!!!?
「キュイッ」
ドヤ顔やめろ!!
「とにかく魚肉ソーセージを捧げるぞ」
御神体「さくら像」の前に魚肉ソーセージを置いてみた。
すると、神社の奥から神主さんらしき人が現れ、1枚の紙を渡してきた。
『氏名・住所をご記入の上、近くの郵便ポストへ投函して下さい。後日、プラチナチケットが届きます』
…….締まらない。なんか締まらない。
「クリアが1人とは限らないので、いちいち贈呈式なんかしてられないんですよ」と神主さんが言う。
あ、はい…合理的ですね。
「帰るか。お腹も減ったし」
「キュー」
ふわぁ。ぱたぱた…ぱたぱた…。
「あーーーやっぱり飛んで」
シュタッ
てくてく…てくてく。
「いや、飛んでたよな!?絶対飛んでたよな!?」
てくてく…てくてく。
(ふふふ)
トリックオアトリート。
イベントものは長くなってしまい大変ですね。
テンポが悪く読み辛いところもあったでしょうが、ここまでお読みいただきありがとうございます。
お疲れ様でした!!
次の更新は11/2になると思います。




