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冴えない中年営業マン、異世界へ転生する++  作者: 4ris4k4
~第一章~中年は異世界へいざゆかん
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領主様への初納品

「よし、20個確かにあるな」


改めて(かご)の中にある石鹸(大)の数を確認する。


「お兄ちゃん、本当に一人で大丈夫?」


クロエはやはり俺が一人で領主様のところへ向かうのが心配なようだ。


「だから何回も言っただろ?大丈夫だった、ちゃんと戻ってくるから」


「ほんとに本当だよ? 絶対帰ってきてね」


「いや、そんな心配されると本当にフラグが立ちそうだから止めてほしいんだけど」


「フラグって何?」


「いやこっちの話。じゃあ、まあとりあえず行ってくるわ」


「うん、行ってらっしゃい!」


そうして、籠を手にいざ領主の館へ向かう。






~館の前~


「おはようございます。エタンさん」


「おう、エロワか、おはようさん」


「今日は領主様へ製品の初納品(しょのうひん)に伺いました。」


「おお、そうか。これが例のミント石鹸か?」


「はい、流石(さすが)に領主様へ卸すものなのでこれを差し上げることは出来ませんが、納品用の石鹸を作る過程(かてい)で余った部分で固めたものがございます。少々小さくて(いびつ)ですが、もしよろしければどうぞ。ただし、あくまで家庭内で使っってくださいね」


「おお、すまないな。昨日妻と喧嘩(けんか)したんだが、これで何とか機嫌を直してくれるかもしれん!助かる!」


「いえいえ、これからよろしくお願いします」


「ああ、こちらこそ。では領主様の部屋まで案内する」


「はい、ありがとうございます」





~領主の部屋~


コンコンコンコン


「入れ」


「失礼致します。ドミニク様、エロワが来ましたので連れてきました」


「うむ、ご苦労。下がって良い」


「はっ」


「して今日はその手に持っているものを持ってきたという訳か?」


「はい、ようやく石鹸の数が揃いましたので納品に参りました」


「うむ、ではそちに掛けよ」


そういって、来客用のソファに座るように言われる。


「え?しかし、私奴のようなものが座るなど滅相(めっそう)もございません」


「お前は今日は商売をしに来たのだろ?ならば堂々としろ、これからはもしやこういった場面に出くわすことも増えるだろう。今のうちから慣れておくことに越したことはないぞ」


「それではお言葉に甘えさせてもらい失礼致します」


そういってソファに腰を落とす。


「さて、ではものを確認しよう」


「はい、こちらにございますが、籠を机の上に直接おいても宜しいでしょうか?」


チリン


「おい、敷物を持って来い」


「はっ、只今」


そういって召使いの方に、言いつけテーブルの上に布を引いて頂きその上に籠を置く。


「お前は小賢しい奴だが、そういった気遣(きづか)いは有るに越したことはないな」


「は、お褒めに預かりありがとうございます」


「ではこちらだな、うむ、確かに20個あるな。」


そういって、ドミニクは立ち上がり自分の机の引き出しから小袋を取り出し、戻ってきて机の上に置く。


「銀貨3枚と銅貨60枚だ。代金は間違っていないな、必要であれば中身を確認しても良い」


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて確認させて頂きます」


そういって俺は袋から取り出し、


「ふんっ、客の前で数えるとはなかなか良い度胸(どきょう)だな」


「信用していないのかと思われてしまうので、気まずくはありますが、しっかり双方が確認することによって将来の問題を回避できると思えばやはりしっかり確認させていただくのがよろしいかと」


「わしにはますます貴様が農民の子だとは思えん。確かに貴様の言うとおりだ、一時の気まずさや関係性などを気にして適当に確認を怠れば、後で問題は起きやすくなる。」


「ご理解頂きありがとうございます。」


今回は銀貨が入っていたので、代金がぴったしかを確認するのには時間が掛からなかった。これが銅貨なら360枚もの銅貨を数えなければならないのだから、助かった。


「確かに360枚ございました。ありがとうございます。」


「うむ、良い。ところでだが前回のミント石鹸、あれもいけそうだな」


「ありがとうございます。実はそのミント石鹸なのですが、一つ考えがございまして」


「また何か思いつのか、、、言ってみよ」


「はい、このミント石鹸ですが領主様の領地で生産されるものでございます。しからば、このようなものを作ってみました」


そういって俺はミント石鹸をテーブルに置く。


「特に何か、変わったところはないはずだが、、、、ん?この石鹸の表面の凸凹はなんだ?、、りんごの絵か?」


「はい、実は石鹸は時間が経つと固くなるのですが、柔らかい状態のときに、このような木彫りの印を押してから固めるとこのような形状になります」


「ほほお、して?」


「はい、もし可能であればこの彫刻スタンプに領主様の家紋を押すというのはいかがでしょうか?」


「そんなことをし、、、、て? そうか! 我が家の紋章の入った石鹸を販売すれば!」


「はい、もしかしますと領主様の家名が広く認知されるのではないかと」


「お前は恐ろしいやつだな、そんな事を考えるとは。しかし、それは良い考えだ!」


「ついては、領主様の家紋を使用させて頂く許可とその木版をご用意して頂ければと思いますがいかがでしょうか」


「分かった、許可しよう。木版については、こちらで手配しよう。完成後に貴様の家まで届けさせよう」


「はは、ありがとうございます。」


「それでミント石鹸は週間生産でどの程度作れる?今のところは20個が良いところです。」


「それは生産量は今後増やせるのか?」


「はい、将来的は増やせると思います。」


「ふむ、そうか。わかったでは20個注文しよう」


「はは、ありがとうございます。」


「本日の内容としてはこんなところか」


「それが実はもう一つお願いごとがございまして」


「なんだ、言ってみよ」


「もし、可能であれば窯元(かまもと)をご紹介いただくことは可能でしょうか?」


「食器でも作る気か?」


「いえいえ、ちょっと別の考えていることがございまして」


「それは売れるのか?」


「成功すれば売ることは可能ですね」


「分かった」


そういってドミニケは自分のテーブルに座り、さっと何かを書き、蝋で封をスタンプした。


「村の窯元を訪ねろ。そのときにその主にこれを渡せ」


そういって封筒をエロワに渡した。おそらく紹介状だろう。


「はは、ありがとうございます。」


「また何か作ったならばすぐにわしに連絡しろ」


「はは、分かりました」


そういって退席して、帰路についたのであった。

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