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王宮奇恋怪異譚  作者: 埴輪庭


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11.ジャニス②

 ◆◆◆


 ──フェリクス殿やクレメント殿が王城のメイドと何か関わりがあったかどうか……それは分かりません。この老骨の耳にはそのような話は入ってきておりません。ですから、あの方々について何かを申し上げる事はできない。


 ただ──今この王城に、一つの噂が流れている事は事実です。


 一人のメイドの、浮かばれぬ魂が彷徨っていると。


 ええ、ええ、そのお顔をなさるのも無理はない。怪談じみた話です。けれどこれが妙に生々しい。深夜の回廊で足音を聞いた、誰もいない部屋で水音がした──そんな話がここ数月の間にぽつり、ぽつりと。メイドたちの間で消えては生まれ、生まれては消える。


 私も耳にした時は黙ってはおれませんでした。城の空気に関わる事です。メイドたちの士気が揺らげば、王家の足元が揺らぐも同じ。──ですから調べました。この老いた足で歩き、この老いた目で見て回りました。


 けれど、何も分からなかった。


 噂の出処も、浮かばれぬ魂が誰を指すのかも。問い詰めれば口を噤み、放っておけば尾鰭がつく。霧を掴むような話でした。結局、この老いぼれの手には余った。


 ……ルキウス殿下、ですか? 


 いえ、あの方については特に何か問題があると聞いた事はございません。聡明で、お優しく、非の打ち所のない殿下でいらっしゃる。


 ただ──いえ、ルキウス殿下が、というわけではないのですが。殿下に懸想したメイドがおりました。若い娘です。お召し替えの折などにお傍に上がる事が多かったとかで、まあ……あの殿下のお顔立ちですもの。無理からぬ事ではあります。


 ですが、その娘は暇を言い渡されました。主家への想慕は奉公の妨げになる──よくある理由です。今は地元に戻ったとか。


 ……ええ、地元に。


 私が聞いているのはそこまでです。

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