何度朝が来ても、あなたはもう、わたしの婚約者じゃない……。
何度朝が来ても、あなたはもう、わたしの婚約者じゃない……。
自室のベッドで目が覚めて。
カーテン越しに光を浴びる。
静けさの中に在ると、どうしても、つい重苦しいことばかり考えてしまうから困ったものね。
起床してすぐにあなたのことを考えることなんてなかった。何もべつにあなたのことを嫌っていたわけではないし、むしろ逆で、大切に思っていたのだけれど。それでも、あなたが婚約者でいてくれることが当たり前のようになっていた部分はあって、だから敢えてあなたの存在について一人で考えることなんてなかった。
でも今は、少しでも暇があれば、いつもあなたのことを考えている。
もう終わったのに。
もう戻れないのに。
人とは愚かなものね。当たり前にそこにあったもの、失ってから、手から離れていってしまってから、その本当に価値に気づくのだから。今さらぐるぐる考えても手遅れだというのに、それでも、どうしても繰り返し思考を巡らせてしまう。
もっと傍にいれば良かった。
もっとたくさんの思い出を作っていれば良かった。
……なんて、考えても無意味だわ。
だってもう遅いのだもの。
何度朝が来ても、あなたはもう、わたしの婚約者じゃない……。
◆終わり◆




