442/529
あの時の悲しみ。あの時の絶望。あなたには想像できるかしら……?
突然告げられた婚約破棄。他の人の方がいいって、そう言われて。あの時のわたしの気持ち、あなたに分かるかしら。
愛していた人に切り捨てられるだけでも辛いことなのに、切り捨てられるだけでは終わらず、もっと良い人がいるとまで言われてしまって。それはまるで、わたしという人間そのものを殴り捨てるようなもの。
誰も自分が世界一だなんて思ってはいなくても、それでも、愛する人の一番にはなりたいものでしょう。
なのにその相手から「一番には決してなれない」みたいなことを言われたらどんな気持ちになるか……。
想像してみてほしいの。
その時の悲しみ。
その時の絶望。
何一つ綺麗なものが見えなくなってしまうような感覚を。
世界一だよ、なんて、言ってほしかったわけじゃない。
でも、永遠に一番にはなれないと告げられたら、誰だって胸の痛みを感じることでしょう。
あなただって、きっと……違うかしら? そうはならない?
いずれにせよ。
あの時は本当に辛かったし傷ついたということ。
あなたにいつの日か気づいてほしいのはそれだけよ。
◆終わり◆




