あなたに何が分かるの? ……あの時、そう言って、突き放した。
あなたに何が分かるの?
……あの時、そう言って、突き放した。
申し訳なかったとは思うの。でもそれ以外にできることはなかった。だって、あなたにはあなたの人生を歩んでほしかったから。あなたがわたしを近づこうとしている状況で、わたしがあなたを振り払う方法は、そのくらいしかなかったの。
謝りたいけれど、謝らない。
今も複雑な思いでいるわ。
でも過去になっていった。
あなたが光ある場所で立っている姿を遠くから眺める時に、あの時の選択は間違っていなかったのだとそう思えるから、わたしはわたしの選択が誤っていたと捉えることはない。
すべてが遠ざかっていく。
どんなことも過去になっていくものね。嬉しいことや楽しいことはもちろんだけれど、それ以外の、たとえばもっと深刻な……悲しみや痛み、辛さ、も……自分の中に存在するありとあらゆる感情、色、そのすべてが時というものに押し流されて。どんなに辛かったことも、どんなに涙したことも、すべてが過去へと自然な形で流されてゆく……気づけば、あの頃はもう遥か昔になっていて、どんなに目を凝らしても見えはしないほどよ。
人生もまた、そうなのでしょう。
生きていく中で本当にいろんなことがあるけれど、最も強く最も偉大な時というものがすべてを押し流して、すべての人を未来へと連れてゆくのでしょうね。
でも、誰もが、目の前の道を歩んでゆく。
それは絶対的な定め。
わたしも、あなたも、他の人たちも――。
◆終わり◆




