姫様の幸せを誰もが願っています。……国のために生きてこられたからこそ。
シルクのドレスが似合う姫様。
透き通るような滑らかな肌と長い睫毛、静寂を呑み込むような瞳は、誰もを虜にする。
……でもそんな彼女もすべてにおいて順調そのもので生きてきたわけじゃない。
今から数年前、姫様には婚約者がいた。
同じような立場の高貴な殿方で。
似たような境遇で生きてきたからこそ寄り添い合えるはずだった――のに、その人は姫様を裏切った。
姫様という婚約者がありながら、別の、しかもそれほど高貴でない女性に手を出したのだ。
それにより婚約は破棄に。
姫様は深く傷ついて。
国にも悲しみが広がっていった。
……ただ、よくないことをしている者には、やはり天罰は下るもので。
姫様の婚約者だったその人は流行り病に倒れ、苦しみながら死んでいった。
そしてその浮気相手だった女性も、容姿を失う謎の病にかかり、絶望しながらこの世から去ることとなった。
姫様を裏切り傷つけた者たちは呆気なく消え去ったのだった。
その後姫様は別の国の高貴な殿方と結婚。
今度は無事結ばれて。
現在はその人と夫婦として穏やかに暮らすことができているよう。
姫様が、美しいその人が、いつまでも幸福の中に佇めること――それこそが、この国に生きるすべての人の願い、だろう。
王の娘という立場だから、だけではない。
真っ直ぐに国のために生きてきた姫様であるからこそ、誰もがそう願うのだ。
姫様には幸せになってほしい。
迷いなくそう思えるのである。
◆終わり◆




