ある晩餐会にて、婚約者が女性を隣に置きながら婚約破棄を告げてきました。
「悪いが、お前との婚約は破棄とさせてもらう」
婚約者である彼バイダーンはある晩餐会にて宣言してきた。
……隣に金髪の可憐な女性を置いて。
「俺は決めたんだ。彼女、リィナと、生涯を共にすると。だからお前はもう要らない」
「それは……本気で仰っているのですか」
「当たり前だろう! このような決意を冗談で言うわけがない!」
「そう、ですか」
バイダーンとの出会いは学生時代だった。
学園に通っていた時、彼から声をかけられ、いずれ結婚したいという想いを伝えられた。
はじめはこちらも戸惑っていて、すぐには頷けなかったけれど、彼の想いの真っ直ぐさに心動かされ、同じ道を行くことを選んだ。
……でも彼は裏切った。
「お前は可愛くない。リィナとは大違いだ。実際今もまったくもって可愛くないだろう? 婚約破棄を告げられてもなおそんな風に冷静で。可愛げのない女のどこに存在価値があるというのか」
私を切り捨て、別の女性を選んだ。
「ではな、さらばだ」
別れる時、金髪女性リィナは勝ち誇ったような顔をして「リィナがぁ、魅力的で、ごめんなさいねぇ」などと言い放っていた。
それは完全に悪意のある言い方で。
自分は選ばれ貴女は捨てられた、ということを強調するかのような、性格の悪さを絵に描いたような発言であった。
◆
あれから数年。
私と彼の現在は真逆のものだ。
リィナと婚約したバイダーンは、日々あれ買ってこれ買ってと言い続けるリィナに付き合って高価なものを次々に購入していたためにお金がなくなり、ある時ついに食べ物を盗んでしまい牢屋送りとなったらしい。
また、バイダーンがいなくなったことで貧しい生活をすることとなったリィナは、生きることに希望を持てなくなり、やがて自らの選択でこの世を去ったそうだ。
一方、私はというと。
婚約破棄されてからちょうど一年となる日に出会った青年と結ばれた。
彼は農家の管理を仕事としている人なのだが、情緒不安定的要素が一切なく、常に落ち着いた状態で関わってくれる。だからどんな時でも穏やかに寄り添って生活することができる。
加えて、資産を持っていて心の余裕もあるので、彼と出会えたことは本当に幸運だと思う。
◆終わり◆




