「正直なことを言うとさ、きみ、ぼくの好みじゃないんだよね」って……ならどうして婚約したのですか。
「正直なことを言うとさ、きみ、ぼくの好みじゃないんだよね」
婚約者ザインが珍しく呼び出してきたと思ったら。
「だから、婚約破棄するね!」
無邪気な感じで関係の終わりを告げられてしまった。
「どういうことですか?」
「そのままの意味だよ」
「好みじゃない、という言葉のことですか?」
「うん!」
ならどうして婚約したのか……、と思ってしまったけれど、そこには触れないでおいた。
そんなことを尋ねても意味がないということは分かりきっているから。
「だから終わりにするんだ。バイバイ。ぼくたち、ここまでだよ」
こうして私たちの関係は終わったのだった。
そして……突然婚約破棄された日からちょうど一週間となった日、ザインは自宅の畑で寝転がってダラダラしていたところ体調を崩し、帰らぬ人となった。
その後私は親の紹介で知り合った男性と結婚。
静かな時間さえも共に楽しめるような心地よい関係を築くことができた。
「あ、それ……新しい本ですよね」
「そうだが」
「面白いですか?」
「ああ」
「それは良かったです」
「……君も読むか? 読んでみたいなら貸すが」
「い、いやいや! そんな! 申し訳ないですよ!」
「では、読み終えてから貸そう」
「……ありがとうございます! ぜひ。楽しみにしていますね、急ぎません」
私たち夫婦の静かでも幸せな日常に終わりはない。
◆終わり◆




