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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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彼と生きてゆくものだと思っていたのですが、急に婚約破棄されました。〜おばあちゃんありがとう〜

 彼と行く道には終わりなどありはしないと思っていた、のに。


「悪いけど、婚約は破棄とするよ」


 婚約者である彼アベンチュはある日さらりと告げてきた。


「え……」

「だから婚約破棄だって」

「本気なの!?」

「もちろんだよ。そんな冗談、僕が言うと思う? 僕、さすがに、そこまで馬鹿じゃないよ」

「そ、そうよね……」


 すぐには理解できなくて。

 けれども理解しなくてはならなくて。


「僕さ、もっと素敵な人と結婚しようと思っているんだ。君なんて中の下くらいの女の人だもん、一生一緒に暮らすならもっと素敵な人がいいよ」


 中の下、とか……失礼じゃない?


「だからね、ここまでにしよう。さよなら」


 彼は平然と失礼なことを言って関係を終わらせてきたのだった。



 ◆



 婚約破棄された後、祖母に編み物を教えてもらった。

 いざ挑戦してみると楽しくて。

 気づけば私は編み物の魅力の虜になっていた。

 毎日何時間も続けて、たくさんの作品を生み出して……そんな風に暮らしていた時、私の作品が有名な編み物工房の代表の目に留まり、スカウトされた。


 恋とか、愛とか、結婚とか、そんなことにはもう関わりたくなかったから、私は編み物で生きていくと決めた。



 ◆



 あれから十年、私は今も編み物で生きている。

 この国で十本の指に入るくらい実力があると国から認められたこともあり、すべてが順調だ。


 編み物に打ち込める日々は幸せに満ちている。

 すべてのはじまりを作ってくれた祖母はもう亡くなってしまったけれど。

 ただ、彼女が教えてくれたことや与えてくれたものは、今も私の中で確かに息をしている。


 ちなみにアベンチュはというと、先日亡くなったと聞いた。

 理想の結婚相手を探し続けていたそうなのだがなかなか上手く見つからず、少し気に入った人には拒まれ、生きることに絶望して自ら命を絶ったそうだ。



◆終わり◆

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