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第84話 調整


 クレアとの混浴を無事に終了に漕ぎつけると。俺はすぐに自室のベッドに潜り込んだ。

『あんなことがあった後じゃ眠れね~!』と思っていたが、直ぐに睡魔が襲ってきたので気が付いたら早朝だった。


 早朝、クレアを抱きかかえて目的の地へと一気に向かう。クレアのAGIでは到着まで時間が掛かりすぎる。時短のために抱きかかえることを提案すると、クレアは恥ずかし気に身体を俺に預けてくれた。


 現在はクレアを抱きかかえたまま音速で移動している。空気の膜を魔法で創り出すことにより、衝撃波は緩和して移動している。問題はギュッとしがみつかれているせいか、先ほどから豊満な胸や太腿が密着し、女性特有の甘い臭いが鼻腔を擽っている事だろう。


(言い出しっぺは俺かもしれんが、理性を保つのが大変だ! まさかこんなラブコメ主人公みたいな悩みを俺が抱く日が来るとは人生っとホント分らんな!!)


 聞いた者によっては石を投げつけられても文句のいえない悩みに嘆息してしまうレンジであった。


 ◆


 〇<バリアン湿地帯>

 【殲滅者】シレン


  途中でトラブルも無く、30分ほど走って目的地までたどり着いた。今いる場所は、もはや俺のホームと化したと言っても過言ではない『バリアン湿地帯』だ。

 相変わらず俺たち以外は誰もいない過疎っぷりだが。人目を気にすることなく検証やレベリングできるのはありがたい。


 俺とクレアは深部でエンゲージリングの効果を確認したのち。中域でクレアを中心にレベリングを開始した。

 効率を考えるのであれば俺が魔物を倒してクレアは補佐に徹した方が安全だし確実だ。

しかし、それはクレアが否定していた温い安全策だ。俺はクレアと組むと決めた以上。自分と対等の相棒と見なしている。

 女だからといった差別的な態度や。過剰な気遣いは却ってクレアに対して失礼だろう。

現状ではクレアが俺の冒険に付いてくるにはまだまだ力不足だ。その事はわざわざ言うまでも無く、本人が一番理解しているはずだ。

 

 故にクレアには俺の予備の剣を与え。本当に必要な時以外は一切の手出しをしていない。

本人が戦えるギリギリのラインを見極め、一度に戦う魔物の数をコントロールしている。


『クレア、次は5体そっちにやる。ランクは4だ』


『了解しました。いつでも大丈夫です!』


 この念話は本当に便利だ。声に出さずとも、心で思い念じただけで相手に伝わる。

そして、クレアが倒した経験値は俺にも共有される。まったくすごいスキルだよエンゲージリング君は。


 じゃあ俺は何もしていないのか?と言われると決してそんなことは無く。今も此方に近づいてこようとしたキマイラ君を一方的に討伐したところだ。


(この湿地帯はアンデッドが多い。ある程度強くて知能があれば俺には寄ってこないんだが。まぁ逃げる奴を追って討伐するのもどうかと思うし。良い事だろう!)


 おかげでクレアのレベリングが出来てるんだし。わざわざ殺されるために向かってきてくれるのに、文句を言うのも筋違いだろう。

 それに、こうして離れた位置からクレアを客観的に見てみると。やはり戦闘のセンスがずば抜けているのが分かる。

 

 俺の戦闘技術は幼少から厳しい(児童虐待寸前)修練と反復が基礎を作り。ゲームでの様々な(理不尽な)経験を基に発展させたものだ。

 実戦の経験はほとんどないが。フルダイブという概念が確立された現代では、それに近い経験が出来るのは事実と言っていい。まぁ実際の戦闘でゲームと同じように動けるゲーマーなど、極小だろうがね。


 しかし、クレアはそうした経験があったとしても記憶を消去されている。なので今目の前で繰り広げられている光景は。クレアの天性のセンスによるものだろう。


 現在のクレアは本気装備。あのルーキー狩りから奪い取った装備を身に付けている(綺麗に洗浄済み)。あのルーキー狩りからぶん捕った装備が一級品なのは間違いない。現にクレアが格上の魔物相手に立ちまわれているのは装備の力が大きいのも事実。


 しかし、装備がどんなに良くても中身がダボなら宝の持ち腐れだ。

視野が広く、間合いを完全に把握して。自分の優位に立ち回る技術がとにかく高い。


 俺の付与魔法を加味しても圧倒的と言っても過言ではない。


「フッ! これで、最後!!!」


 手に持つ魔剣を一閃させ。『ギガントトード』を真っ二つに切り裂くと会心の笑みを浮かべ。こちらに意味ありげな視線を向けてきた。褒めてほしいのか?


「お見事! これまで戦い詰めだったし。いったん休憩を取るとしよう」


「え? ま、まだ全然行けますよ?」


「駄目だ。余裕があるうちに休息を取っておくのも大事だぞ!! ホレッ!」

 

MPとスタミナを回復させるポーションを渡し。無理やり休憩を取らせることにする。


 ————さて、今からは反省会だ。


「立ち回りに関しては言うことは無い。ちょっとぎこちない面もあるが、基本は今のモノを洗練させていけばいいだろう。問題は魔法だ」


 自分でも自覚があるのだろう。俺の言葉に落ち込んだ表情で俯いた。自分でも厳しすぎることは解っている。だがこれは命がけのやり取り、未熟を放置しておけば。いつ死が降りかかってくるかわからない。

  

 だから嫌われたとしても、ハッキリと指摘をしなければならない。


「魔法を使う時に明らかに剣や体捌きが鈍っている。魔法の発動に気を取られ、注意力が散漫になっている証拠だ」


「はい。でも、どうしても魔法詠唱中はそちらに気を取られてしまうんです」


「だったら今は実戦で使用せず。魔法は魔法。剣は剣ときっちり使い分けをした方が良い。知能が低いカエルなら兎も角。高位の魔物で今のような動きをしたら一瞬でお陀仏だぞ?」


「・・・・・・・・・はい。わかりました」


 厳しい指摘にシュンと落ち込んでしまう。これはフォローが必要だろう!


「勘違いするなよ? 俺は今の時点で使うな、と言っただけだ。反復と試行錯誤を繰り返し、モノにしたら存分に使えばいい」


 「・・・・はいっ!!!」

 

 表情を一変、嬉しそうなものに変化させて満足げに頷いてくれた。


「武術にしろ魔法にしろ、使うだけなら簡単だが。使いこなすには努力と鍛錬が必要だ。そして、常に考え続ける事。思考を止め満足した時に成長は止まる。常に可能性を考え、進化させていくのを心がけるんだ」


 生意気にも聞こえる俺の発言だが。実際俺は常にそれを心がけている。

武術と魔法の同時使用も最初から出来たわけじゃない。試行錯誤と反復を繰り返しモノにした。

いや、今でさえより効率的、効果的な運用方法を模索している。


 それにゲーマーにとって仕様の裏を付いて悪だくみするのは日常茶飯事だ。

『運営』に見つかって修正を喰らうまでがゲーマーの華であり、醍醐味でもある。


(まぁ法や倫理の抜け道を探して他者よりもイイ思いをしたい、優位に立ちたい。・・これは全ての事に言えるかもしれないがね)


 正に現在の俺がそうだ。自嘲も込めて皮肉気な口調になるが、気にする必要は無い。人間なら誰しもそういった面はあるからだ、それが顕著か控えめあかというだけのことだ。


 さて、クレアだけに戦わせて何もしていないように見えるのは体裁が悪い(俺が勝手にそう感じているだけだろうけど)。俺も少しは戦わせてもらうかね! 俺は空に飛びあげると上空からめぼしい敵を見つけると、魔法で狙撃を開始する。


 今回のクエストでは必須になる技能だ。ココで練習をしておいた方が良い。余り建造物を派手に破壊する魔法はNGだ。もっとも俺が介入する頃には建物が残っているのかさえも怪しいが、念には念を入れて出来れば貫通力のある魔法で遠距離から屠っていくのが望ましいだろう。


 実際のところ、広範囲を薙ぎ払う系統の魔法『隕石落下』などを使えば。楽勝とまでは行かなくともかなり余裕をもって対処ができるが、一般人を巻き込みすぎると。世論は完全に敵に回るだろう。

 俺が魔物を討伐しなければ全滅もありえた事実を無視して、というか棚上げして・・・・・な。


(不謹慎だが、豚共が建造物を破壊して真っ平らにしておいてくれると、俺としては大助かりだがな)


 都民が聞いたら思いっ切りビンタか、鉄拳制裁をかましそうな発言だ。しかし、幸い。と言ってもいいのか、ここには誰も聞いている者がいない。


 余り上空に飛びすぎると経験値共有範囲から出でしまう。余り高度を取らないよう気を付けて魔法を連続して放つ。


 タングステンに雷を纏わせ更には螺旋回転を加えることで貫通力と推進力を強化した新魔法『螺旋貫雷』。ぶっちゃけ超電磁投射砲並みの威力を誇る狂気の兵器と言っても過言ではないだろう。


 その証拠に、以前俺をフルボッコにした『タイラント・スパイダー』の鋼鉄より硬い外殻が、まるで紙かバターのように貫かれて緑と紫色の体液や毒液をぶちまけて絶命する様は愉悦よりも、寒気のようなものが込み上げてくる。


 しかし、ドロップアイテムを自動で回収してくれる、装備か装飾が欲しいところだ。いちいち拾いに行くのは面倒だが、ドロップアイテムや魔石を無駄にする行為はゲーマーの性なのか出来そうにない。


 魔法で遠距離から一方的に倒すのは楽ではあるが、それだと体術や剣技が鈍ってしまう。

一気に急降下して魔物の群れに飛び込み、武器スキルや体術を駆使して蹂躙していく戦術に切り替える。


 




 この平和な(狂気の)準備期間を四日間行い。クレアの合計レベルは200に達した。今は『高位錬金術師』なる『錬金術師』系統の上級職に就いている。その他にも『魔物博士』と『高位従魔師』の条件も達成して現在はそれらの職に就くだけ就いている状態だ。


 種族もあれから一度進化して、現在は『サーキバス・スキュラ』なる種族になっている。


 ◆◆

 〇『サーキバス・スキュラ』

 種族ランクB-

 上半身は美しき絶世の美女だが、下半身はこの世のモノとは思えぬ、美しくも悍ましき複数の怪物で構成された淫魔種の特異進化個体。 凶悪と言っていい程の魅了により異性のみならず、同性さえも虜にする。 また、多種多様なスキルを持ち、戦闘力もBランク下位の中では最高クラスと言っていい程に高い。


 異性を道具としか思っておらず、奴隷のように扱うことが知られている。だが、真に愛した異性にだけはどのような扱いをされたとしても、献身的なまでに尽くし。例え自分の身が犠牲になろうとも守り抜く愛の奴隷のような一面も持っている。


 ◆◆


(何とも重いフレーバーテキストさんだこと。しかし、D+から一気にB-に進化するとは。クレアの潜在能力が高いからか? 検証しようにも対象が少なすぎて(俺とクレア)話にならん)


 進化の法則が全く掴めない事には嘆息するしかない。思わずため息が出るのも仕方がないだろう。


 個人的には一気に進化するのは好まないが。まぁクレアの選択だし俺が言う資格は無い。それに俺とほぼ同格になったのはありがたい。だが、まだ上限には達していないが、此処からの進化は大変な道のりになるはずだ。これからもビシビシ行くかね!!


 それにしても・・・・・・・・。俺が思案するのはクレアの様子、正確には俺の眼前で繰り広げられている光景だ!!!


 クレアもかなり嬉しそうな顔で先ほどからスキルの検証をしているそのこと自体はイイ。とやかく言う気は一切ない。だがしかし、影から生み落とした肉塊を、猛獣のようにして周囲のモンスターに嗾けたり。足元の影から触手を出してモンスターを拘束するのはやめて欲しいのが本音だ。俺の精神安定と描写的にな!!


 まぁクレアも成長したという事にしておこう。そうだ、きっとそうに違いない(遠い目)。

まぁ準備はこれで終了だ。明日は一日休息をとることにしている。ゆっくり休む完全休養とする!!


 こうして俺とクレアの強化合宿は無事?終了した。次に戦うとしたら決戦の東京だ。

お読みいただきありがとうございます。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 第83話で ピクシー種の特性『縮小化』っていつ手に入る特性なんですか? ピクシーのときもハイピクシーのときも ステータス表示みる限り持ってないみたいなので エレメントピクシーの時ですか…
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