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とある魔法使いの娘の呟き 087
こちらの様子を窺っている例の伯爵様に頬笑みながら話しかける。
たぶん私の顔は、悪役の顔になっているわね。
「…何かな」
彼は、私の事情を知ってか緊張した面持ちでいるものの、言葉を詰まらせることなく返事を返してくる。
さすがは、帝国の窓口となっている伯爵家。相手の方が、役者が上なのはわかっています。ならば、このままの勢いのまま畳み掛けるのみです。
「確か、伯爵領と帝国間での輸出品の中で陶器が盛んに取引されていましたよね」
「そ、それが何かな」
私の言葉を聞き、圧力を掛けて強請る気かと身構える伯爵様。まさかそんなことはしませんよ。
「お嬢様、かなりの数が入用なので、すぐには無理かと思いますが?」
合いの手を入れる様に家政婦長が割込み憂いを帯びた表情を浮かべる。
その表情に、伯爵をはじめ高官たちの顔を赤らめる。
さすが、サキュバス。女の武器を心得ていらっしゃる。




