第4話:out of order
おそらく、次からはひとつひとつの話が長くなり、早く更新することができません。そこんとこもふまえてやってください・・・これからもよろしくお願いします。
「スラムに奴はいるようです。はっきりとはわかりませんが、時計塔にいると思われます」
部長さんの情報から、俺達はスラムという答えをだした。
スラムは行き場のなくなったものが住むもう一つのアーテムだ。
治安は悪く、毎日のように事件はおこっている。
できるならコルダは連れてきたくない。
だって・・・
「お?ねぇちゃん、かわいいねぇ。今ヒマ?」
こんな奴がいるからだ。
くそ、こいつ恥ずかしくないのか。
こんなベタな言葉、いう奴いたんだ。
「あ、情報屋のとこ連れていってくれんならいいよ」
ちゃっかりしてる。
ナンパ男(以下N男)は少し悩んだあとうなずいた。
「思ったより簡単についたな」
それから10分ほどすれば、古びた時計台が見えてきた。
少なくとも俺の5倍は生きているだろう。
「ここにいる」
N男はドアを開けながら言った。
「ここの最上階にいくがいいよ。いつもそこにいるから」
そしてN男はコルダ(だけ)にバイバイと言って、去っていった。
「さぁさ、いくわよ」
コルダはずんずんと暗闇へ入っていった。
「おい、俺のこと忘れてない?」
叫んだが、もういなかった。
中は昼間だと言うのに、暗くじめじめしていた。
「ん?なんだてめぇら」
訂正。
中は昼間だと言うのに、立派な大人がじめじめしていた。
しかも、ガラも悪そうだ。
「情報屋に会いたいんですけど」
コルダが答えた。
そうするとコルダは通してくれた。
コルダは、ね。
「野郎は通さねぇけどな」
俺のまわりにはこわいお兄さんが整列しているとき、コルダは階段を登っていた。
って、あれ?
無視かな?
「それにしても、ちっさいな」
その言葉で俺は意識を男達に向けた。
「ちっさい・・・?」
男は鼻でわらった。
「あらら、ボクには禁句だったかなぁ?」
笑い声が塔いっぱいに響く。
声が消えると同時に俺は思い切り床を蹴った。
右手を前へ。
「ぎ・・ぁ」
男は鼻を押さえて倒れた。
今度は両サイドの奴らの頭をつかまえ、ぶつけた。
「や・・・ろ!!」
最後のひとりが突っ込んでくる。
ばかめ。
そんなかまえじゃ、
「ぐ」
腹に一発ぶちこんだ。
狭い階段に4人の体が沈み込んだ。
俺はちびと言った大男の体を持ち上げた。
「て・・め・・・なにもんだ」
アーテムの人はベタなことしか言えないのか。
「黙れっ!」
なんかムカついたのでもう一度制裁を加えた。
「くそ・どいつもこいつもちびちび言いやがって」
ぶつぶつ言いながら駆け上がった。
「おい、待てって」
息を切らしながら、呼び止めた。
「あらおかえりなさい」
「てめぇ、俺の死闘をそれで終わらせるつもりか」
返事を待つ前に最上階へ着いた。
階段よりは明るく、大男達もいなかった。
そのかわりにひとつの人影。
あいつは・・
「やぁ待っていたよ」
街であったナンパ男だった。
「・・・・・・」
「え?そこは驚くとこじゃ」
「いや、だってお前怪しいオーラ発してるし。けっこう、ばれてると思うよ」
N男は少しうなだれた。
それにしてもこいつは、どこからきたのだろう。
階段はひとつしかなかった。
壁をのぼってきたのだとしたら・・・
なんだか可愛い奴だな。
「おいおい、なに笑ってんの」
N男は少し不満そうだ。
「N男も止めろよ。僕にはナイフって名前があるんだ」
そう名乗った。
しかも僕キャラらしい。
「君は人をおちょくるのが好きらしいな。まぁ、いい」
全然良さそうじゃないが。
「・・・君たちは僕の情報を貰いに来たんだろう?何が聞きたいんだ?」
ぼっとしてたコルダがようやく反応を見せた。
「この国にいる魔族を捜しているの。あなたなら知っていると思って」
「・・・確かなものではないけど、目撃情報はあるよ」
「「本当に!?」」
いいペースで物事が進んでいる。
こんなに楽でいいのだろうか。
「どこにいるの!?」
ところが奴はこう返した。
「いくら払う?」
「は?」
ナイフは首を傾げた。
「聞こえなかった?情報を教えるんだからさ、お金を払ってよ」
この街で生きているだけあって、しっかりしてる。
俺はコルダを見た。
コルダも俺を見て頷く。
「・・・わかった。手持ち全部だそう」
懐から財布を出し、放り投げた。
ナイフは中身を確認して、ため息をついた。
「これだけ?これじゃあ教えらんないなぁ」
「な、なんだと?」
ナイフは意地悪そうな笑みを浮かべた。
「そうだ。そこのお姉ちゃんと交換ならいいよ。まだ幼いけど美人だし」
その漆黒の瞳には何が映っているんだろう。
・・・なんて言ったら怒られそうだ。
「馬鹿馬鹿しい。誰が一人旅なんかするかよ」
コルダが少し俺を見つめた。
それと同時にナイフは頭を掻きながら言った。
「交渉決裂、だね。あまり好きじゃないんだけど」
指をパチンとならした。
ドアから、窓から、天井から、大勢の武装をした男たちが出てきた。
「おいおい、丸腰の少年少女に何人がかりで戦うつもりだよ」
「じゃあ承諾してくれる?」
俺は人数を確かめながら答えた。
「誰がっっ!!」
人数はいても戦闘経験の足りない奴らの寄せ集めで、数分後には立っているものは三人しかいなくなった。俺と、コルダと――
「すごいや、お兄さん!」ナイフは拍手をした。
目の前に倒れている部下など見えちゃいない。
「その強さの秘訣は?」
「毎日のように熊と熊のような女と戦えば意地でもな」
「ねぇ、それってあたしのこと?」
熊が睨んできた。
見ないことにしておく。
「で、情報をくれる気になったか?」
「うーーーん」
黒髪を揺らしてやつは近づいてきた。
「まだゲームセットには早いんじゃない?」
奴は袖から銀色のものを取り出した。
銀色の―――
短刀を――――
「さぁ、ハーフタイムは終わりだよ」




