クリステル=アディール 62
{注意} R15
「クリス?」
重たい瞼を開けると、目の前にウェル様の顔が見えた。
「どうしたの?僕の婚約者は、まだ寝ぼけているのかな?」
ウェル様が頬に口づける。周りを見渡すと、知らないベッドに寝ていた。起き上がろうとすると頭が痛み、そっと頭を押さえて寝台へと体を戻した。
「わたし・・・」
「まだ寝ぼけてる?今日は僕とクリスの婚約披露パーティーだった。パーティーの後、疲れたのか控え室で寝てしまったみたいだね。今日はもう遅いし、王宮で泊まっていくかい?泊まるだけじゃすまなくなるかもだけどね」
ウェル様は、ウインクして私の唇にキスを落とす。
頭の中で考えると、だんだんと意識がはっきりとしてきた。ベッドから起き上がり、ウェル様を見つめる。
そうだ、マルセイユ学園から卒業して2年たった今日は、王宮で社交界デビューと共に、正式に婚約の御披露目をしたのだった。今日は、国王様や貴族に挨拶周りをして、とても疲れたのを思い出した。
「ウェル様、大事な日なのに眠ってしまって申し訳ありません。その・・・婚約したばかりですので、今日は自宅に戻らさせていただきます」
申し訳なさそうにウェル様の申し出を断ると、ベッドの上に倒れ込み手首を強く押さえつけられた。
「婚約したんだ、様はもういらない。ウェルでいい」
「ウェル?」
疑問系に呼んでみると、ウェルは嬉しそうにかわいい僕のクリス!と褒めると再び唇が重なる。
最初は、唇を啄みながらの甘いキス。やがて、深い大人のキスに変わっていく。恥ずかしい気持ちと、甘く気持ちよい感覚が混じり合い、体が次第に熱くなっていく・・
ウェルの舌に少しずつ応えると、ウェルの手が私の手に絡ませてくる。絡めた手の指の間を擦られ、体がピクリと反応して声が洩れてしまう。
「んっ・・・ウェルだめです。これ以上は・・んっ」
ウェルの瞳に欲望の光が見え始め、あわてて止めると、唇を舌で舐められた。
「じゃあ、家に返してあげる代わりに、クリスからとびきりのキスをしてくれる?」
更に耳元で、息がかかるようにお願いをされて、体を離される。
ウェルの色っぽい顔に、ごくりと喉が鳴る。ベッドから起き上がり、ウェルの頬を押さえて唇を重ねる。
とびきりのキスと言われ、おそるおそる唇を開いてウェルの唇の中へと侵入した。自分からウェルの舌と絡ませ、くちゅりと唇から音が鳴る。
舌を絡ませている途中で、髪の毛にウェルの手が絡み、ピクリと体を反応させてしまった。
絡ませた舌を離し、お互いの情事の糸が見えるようにウェルが舌をペロリと舐めとると、耳元でウェルの声が奏でられて体が震えた。
「僕を選んでくれたありがとう」
その瞬間、頭がずきりと痛んだが、再び頭を強く支えられて唇を貪られ、侵入してきた舌に翻弄されて痛みは消し飛んでいった。
今も馬車の中で、同じようにキスを繰り返ししている。舌を絡ませながら、腰をくねらせ、体が揺れてしまうたびに恥ずかしい声が洩れてしまう。
「もっとクリスの声を聞かせて」
ウェルの唇が、胸元へとすべり落ちる。胸元をちりっとした痛みが刺し、それすらも快感をとらえた体がぴくりと反応してしまう。瞳に映る私を見るたびに、体は熱くなりキスを強請ってしまう。




