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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
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クリステル=アディール 46

「クリスっ!」


ウェル様の叫び声と共に、目の前に、4人を取り囲むような炎の円陣が広がった。

4人はあっという間に、炎に包まれてその場から消失した。

その場には、銀色の光だけが微かに残っていた。



私達はその場を後にして、目的地である森の奥へと向かった。森の奥には、過去に人間が妖精と契約した証である石碑がある。その石碑には、誰がどんな契約をしたかが分かるらしい。っというのも、妖精であるパックに教えてもらった情報だ。ライアー先輩は、妖精の言うことを信じるなというが、手がかりがひとつでもあるなら、私は調べたかった。


「殿下達を無断で転送することにして、あとで怒られるぞ」


歩きながら、先輩がぽつりと言う。

今回のことは、2人で、いえ・・・

2人と1匹の妖精で決めたことだった。


最初は特殊な魔法を私が身につけたから、全員一緒に帰国できることを伝えた。実際は、そんな魔法はなく、2人と1匹でここに残るために嘘をついたのだ。

ウェル様達を、私の使用な目的に連れ回すのを避けるためなのと、大人数で目的地まで行くのにパックは反対意見を唱えたからだった。

騙しうちのような状態だったが、私達以外を先輩の転送魔法で帰国させることに成功した。


「いいんです。ウェル様へは、自由にさせてていただくと宣言したので。それよりも石碑はどのあたりにあるのかしら?」


ここでの道案内は、言い出したパックだった。


「えーとね、妖精の通り道を通った方が早いよ。それにさっきの襲撃者の人につけられると厄介だからね」


結局襲撃者は、あれから姿を見せなかった。先輩は、私を罠にかけた魔法は、かなりのコストがかかるため、術者は魔力切れのため隣国へ逃げたのではないかと予想した。

そんなに頻繁にこの国と隣国で出入りができるのに少し疑問を持ったが、それは後ほど解決することとなる。


「到着しました。ここでーす!」


森を少し抜けたと思ったが、数刻前にウェル様と一緒に来た湖だった。辺りを見回したが、なにもないただの湖に見えた。


「なにもないぞ?まさか、湖の中を通るんじゃないだろうな」


パックはきらりと目を輝かせた。


「ぴんぽん大正解〜!ここで、僕たち妖精についている鱗粉を纏ってもらうよ。そうすると、あら不思議・・・水の中でもへっちゃらになります!」


パックは後ろについている羽を左右に動かして、光り輝く粉を私達にかけた。

光の粉は体に触れると、すうっと消えていった。

雪みたい・・・


「おねえさん、雪ってなあに?」


私の思考を読んだのか、パックが不思議がった。この国は、あたたかい気候のため雪がふったことがない。私は前世で雪がふった風景を思い浮かべる。


「ふーん、雪って冷たいんだねぇ」


パックには道案内してもらうために、私の思考がパックにもわかるようになるという対価をはらった。先輩には反対されたが、パックに私のことを知ってもらうには一番早い方法だと思い、私から提案した。


みんな、契約にするの対価についてもっと交渉しないのかな。妖精についてももっと調べないといけないかもね。自分の大切な気持ちを無くさないようにするために、気を引き締めた。


「さあ、いきましょう。パック案内して頂戴」


パックの案内のもと、私達は湖の中へと進むことになった。


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