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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
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クリステル=アディール 40

最初に飛び込んできたのは、

眩い光だった。


「ん…」


周りを確認したかったが、

言葉にできないぐらい体が重くて

動かせなかった。


「クリス!」

ウェル様の声が近くで聞こえた。


「殿下、お待ちください。クリステル様は魔力をほとんど失っており、とても危険な状態です。私の治癒魔法で、囲っているので今は大丈夫ですが…」

メレイカ様の魔法だったのか、

とても心地がよい青く輝く膜がうっすらとみえる。


「私はどうすればいい。」

ウェル様の必死な声が耳に届く。


「魔力をわけるしかないな。みんな魔力がギリギリだ。殿下は、まだ余裕だろ?クリスにわけてやればいい。」


「魔力をわけるなら、早くやらないと、どんどん体が消耗していきますよ。」


「殿下がやらないなら、俺がやる。」

先輩が側に近づく気配がしたが、

殿下がそれを遮ったようだ。

「まて、私がやる。クリス、いいか…?」


体が少しでも良くなるならと、

私は軽く頷いて、目を閉じる。




唇から、暖かな風を感じた。

それは体中に巡り、

頭のてっぺんから、足のつま先まで

懐かしい温もりに包まれていた。


そっと目を開けると

金色の髪の毛が、視界に入った。

だんだんとぼやけていた世界が

鮮明になってくると、

目の前にウェル様の顔があった。


「ウェル様…」


「クリス、大丈夫か…?」

 

私は頷いて起き上がろうとするが、

まだ力が入らずに、地面に逆もどりする。


慌てたウェル様に支えられ、

頬を撫でられる。

こんなに近くで、ウェル様と対面するのは

小さい時以来だったので、

思わず赤面してしまった。


「顔が赤いな。まだ、魔力が足りないか…?」


私の唇に、ウェル様が口づけを落とした。 

重なった唇から、先ほどのように

暖かい魔力が注ぎ込まれる。 

ウェル様の魔力は、そよ風のように

優しく私を包む。


ウェル様…

魔力を送るためだと、頭では理解していたが

実際にキスされていると、

勘違いしてしまいそうになる。

まるで、恋人同士の口づけのように…


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