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歌謡曲雑感  作者: 前田智
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比較的ニートな日常

昔は今ほど情報の入手が楽ではなかったのです。コミュ障のクマなら、なおさら。人間ひとでもないし。ちなみに作詞家といえばもちろん阿久悠さんとか松本隆さんとかなかにし礼さんとか。寺尾聰と言えば有川正沙子さん。「ルビーの指輪」は松本さんだけど、「シャドーシティ」「出航さすらい」、「ロングディスタンスコール」等は彼女です。男のロマンを感じさせるその詞は、でも他には杉山清貴とか菊池桃子とか・・・。うん、芸幅が広い。

 中1の頃の話ですが、基本的に外を出歩くのが嫌いで、出来る事なら普段から冬眠でもしていたいと考えるクマが、冬眠代わりにいつもテレビばかり見てまして、そこで気になったのがテレビCMソング。今まで聴いたことが無いような気だるげな、それでもリズミカルな某化粧品メーカーの歌で、「にーと、にーと、えぶりでい」と歌っていらっしゃいました。この頃からそれなりの芸能雑誌を見ていた身にしても、憶えのない声と歌手。後のなって知った事ですが歌うは松原みき、歌は「ニートな午後三時」。他にも「あいつのブラウンシューズ」とか「真夜中のドア」とかシングルを出していたことは月刊明星等で知りましたけど、当時聞いたのはこの歌のみ。ザ・ベストテンにも、確か20位以内に一週だけランクインしていた筈です。当時、まだほとんど新人に近い方でしたし、化粧品のCMソング。今から考えればそれでもヒットシングルといえたとは思いますが、あれ、消えちゃったというのが正直な感想でした。でも、印象に残る声とメロディ。作詞が三浦徳子さん、作曲が小田裕一郎さん。お二人とも当時様々な歌手に作品を提供されてましたし、三浦徳子さんは八神純子や松田聖子の初期作品や沢田研二にも「渚のラブレター」をはじめ多くの素晴らしい詞をつけてらして、よく考えるとずいぶん聞いていたなと思います。ただ、この時点では誰が誰にどんな曲を作っているか、なんてほとんど気にしない、というか、歌手は自分の作った歌を歌っているもんだと思っていたボケ熊でありました。だって、最初に買ったシングル、「青葉城恋歌」、作詞はラジオのリスナーで、作曲は宗さん本人だったし、兄貴が買った「季節の中で」もチー様本人の作詞作曲だったし。作る人と歌う人が別だという事を明確に意識したのは、それからすぐだったけど、寺尾聰が『リフレクションズ』を出してそれが大ヒットして月刊明星の歌本でアルバム特集が2回も組まれて、それからの事でありました。うちの阿呆な兄が自分がレコード欲しさに何もわからん弟にレコード貯金なるものを提案おしつけし、たまったお金を自分の好きなEPを買うのに使いやがったために、小5の頃は、私、自分の好きな歌というより、その阿呆が強弁した歌を買うことになったわけなのです。まあ、おかげで、オフコースとか海援隊とか甲斐バンドとか、自分だけでは手にしないような音楽に触れましたけれど、わたしゃ、宗さんの「岩尾別旅情」とか西城秀樹の新曲とか欲しかったんだよ。まだ同級生はそこまでニューミュージック(当時はね、こう呼ばれてたのさ)を聞く年齢ではなかったというのに。故に私にとっての歌謡曲は歪んだのさ。・・・愚痴にしかならないな。まあすぐに、それぞれに聞くジャンルが変わってきたし、中学生と小学生では環境も変わる。だから悪いことを勧める悪いやつは早々に当時から始まった気がする受験戦争の波の中にもまれ・・・はしなかったんだよなあ、より悪化したというか。その頃放映が始まった「機動戦士〇ンダム」のせいだな、多分。まあ、それはさておき、割と自由に音楽を聴きはじめた頃の話であって、丁度その頃東北放送ラジオで「サンデーテレフォンリクエスト」なる番組やってるのを見つけて、より病状が悪化したというか、お金がなくともラジオで聞くだけなら、ほぼ無料。勉強する間も惜しんで(中学入学と同時に、慣習的に買ってもらった)モノラルラジカセで録音した歌謡曲⁇を聞いていたもんです。その情熱を別の、正当な方向に注いでいればねえ・・・。ともかく、そんな感じで暗い中学生活は始まったのでした。暗い、と言うのは本人の社交性の問題ですね、性格きつかったし。ものも知らんかったし。知ろうともしなかったし。せめて松原みきのアルバムくらい聞いとくんだったと、今にしては思います。近年初期LPが再発されて、いくつか入手したんだけれど、よもや20年ほど前に亡くなっていようとは。近年は「真夜中のドア」が海外で再評価されていると聞いて驚いています。まあ、良いものは良いのですけどね。熊てもわかります。是非とも、聞いてみましょう。ただ、ご本人のオリジナルは結構変わってはいます。猫でるし。でもソレがいい。

いやほんと。驚きましたよ、ググってみて。なんか消息を聞かないなとは思っていたんですけど。「ニートな午後三時」のEPはどこだったかのオフ系店舗で見つけたんですけどね。一応ベスト盤のCDも出ているし。いやいや、ここはスマホでサブスクで、聞くべきなんでしょうけどね、なにせ古いタイプの野良熊ですので、機械が怖い。たぶん噛むんではなかろうか。迂闊に手を触れると。

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