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追放されたけど、最弱スキル〈修繕〉で辺境スローライフ満喫します  作者: 妙原奇天


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第8話 商隊との取引と、新たな脅威の影

 商人ギルバートの荷馬車から降ろされた品々は、どれもボロボロだった。

 ひび割れた魔導ランプ、折れた剣、曲がった鎧。

 王都で「もう使い物にならない」と捨てられた品らしい。


「さて、リオン殿。腕の見せどころだぞ!」

 ギルバートがニヤリと笑う。


「えっと……じゃあ、一つずつ」

 僕は手をかざす。


「……〈修繕〉」


 淡い光が品々を包み、ひびは消え、刃は輝きを取り戻し、鎧は新品同様に蘇った。

 それだけではない。修繕を終えた品は、どれも本来以上の力を宿している。


「な、なんだこれは……!」

 ギルバートの目がギラリと光った。

「王都で売れば、金貨百枚は下らん! いや、千枚かもしれんぞ!」


 僕は苦笑いを浮かべる。

「いやいや、そんなに大げさな……」


 だが、ギルバートは本気だった。

「リオン殿、俺と契約してくれ! 修繕した品を定期的に商隊に卸すんだ。そうすれば村は裕福になるし、あんたも名を上げられる!」


 村人たちがざわめく。

「確かに、物資が安く手に入るなら助かるな」

「子どもたちの服や薬も、もっと揃えられる!」


 村長も腕を組んでうなずいた。

「悪くない話じゃのう……ただ、あまりに目立つと王都や隣国が黙っておるまいが」


 その言葉に、村人たちの表情が引き締まる。

 僕も胸がざわついた。

 王都の使者ロイが言っていた通り、〈修繕〉は国を揺るがす力になり得る。

 もし噂が広まりすぎれば、敵国に狙われるかもしれない。


「大丈夫大丈夫!」

 ギルバートが笑って手を振った。

「俺の商隊は信用第一だ。余計な噂は広めやしない。だが……」


 ふと声を潜める。

「すでに“別の連中”も、リオン殿の存在を嗅ぎつけてるかもしれん」


「……別の連中?」

 僕は眉をひそめた。


「ならず者か、盗賊か、あるいは……他国の密偵かもな」

 ギルバートの言葉に、空気がぴりりと張り詰めた。


 その夜。

 宴の最中も、僕の胸は落ち着かなかった。


(……村を豊かにするために商隊との取引は必要だ。でも、外の世界に知られるのは危険だ)


 焚き火の炎を見つめながら、胸の奥で小さな決意が芽生える。


「……もし敵が来るなら、僕が直して、僕が守る」


 〈修繕〉はただの最弱スキルじゃない。

 村を守るための、僕の誇りだ。


 その時――。

 村の外れで、犬のような遠吠えが響いた。


 宴のざわめきが止まり、誰もが顔を上げる。

 炎の向こうに、黒い影がちらついた。


 ――新たな脅威が、辺境の村に迫ろうとしていた。

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