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追放されたけど、最弱スキル〈修繕〉で辺境スローライフ満喫します  作者: 妙原奇天


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第7話 辺境に訪れる新たな商人

 王都の使者ロイが去ってから数日。

 村の空気は再び穏やかさを取り戻していた。


 僕は相変わらず、農具や井戸の滑車を直したり、子どもたちのおもちゃを修繕したりしていた。

 ちょっとした日常の繰り返し――けれどそれが心地いい。


「よし、これでまた耕せるぞ!」

「リオンさん、本当に助かるよ!」


 村人たちの笑顔が、僕の毎日の報酬だった。


 そんなある日。

 村の入口で見張りをしていた青年が、慌てて駆け込んできた。


「し、商隊が来たぞ!」


 村人たちが一斉に色めき立つ。

 辺境の村には滅多に商人が来ない。年に一度か二度ほど、食料や道具を売りに来る程度だ。


 やがて土煙をあげて現れたのは、十数台の荷馬車。

 色鮮やかな幌をかけ、陽気な歌を歌いながらやって来る。


「おやおや、ここが噂の辺境村かい?」

 先頭に立つ男が、にやりと笑った。

 丸い体格に派手な羽帽子。腰には分厚い帳簿。見るからに商人だ。


「わしは行商人ギルバート。王都でも有名な噂を聞いて、遠路はるばるやってきたのさ」


「噂……?」

 僕は首をかしげる。


 ギルバートは大仰に両手を広げた。

「“壊れた物を奇跡のように直す修繕士がいる”ってな! ほら、折れた剣や壊れたランプを新品以上に直すっていう……」


「えっ」

 思わず声が裏返った。


(……王都の使者ロイのせいか!? いや、あの人が口外したとは思えないけど……どこから漏れたんだ?)


 村人たちは「リオンさんのおかげだ!」と胸を張る。

 ギルバートは目を輝かせて僕に詰め寄った。


「リオン殿! ぜひ商売を一緒にやろうじゃないか!」


「し、商売!?」


「そうとも! あんたが直した品を王都で売れば、一財産どころか国を動かすほどの富が手に入る! 名声も、地位も思いのままだ!」


 ギルバートの鼻息は荒い。

 けれど僕は、慌てて手を振った。


「い、いやいや! 僕はそんなつもりじゃ……ただ村のみんなの役に立ちたいだけで」


「おやぁ? もったいない! この力を世に広めないなんて!」


 商人は必死に食い下がるが、僕は首を横に振るしかなかった。


 そんなやり取りを見ていた村長が、ゆっくりと前に出た。

「ギルバート殿。リオン殿は村に残ると決めた身。無理に引き抜こうとしても無駄じゃろう」


 するとギルバートは、しばし考え込んでからにやりと笑った。

「じゃあ、こうしよう。俺が持ってきた“壊れた品”をいくつか直してくれ。その代わり、辺境にしか手に入らない品を安く提供する」


「……なるほど、それなら」


 僕は頷いた。

 村に必要な物資が手に入るなら、それは悪くない取引だ。


 ギルバートが荷馬車から取り出したのは――。

 ひび割れた魔導ランプ、錆びた剣、折れ曲がった兜。

 どれも王都で見捨てられた品らしい。


「……〈修繕〉」


 僕がスキルを発動すると、品々は淡く光り、新品以上に蘇っていく。

 その光景にギルバートの目がぎらぎらと輝いた。


「こ、これは……本物だ! 本当に奇跡だ!」


 村人たちは笑顔になり、ギルバートは歓喜の声を上げる。

 辺境の小さな村に、また新しい風が吹き込もうとしていた。

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