第44話 王都決戦 ― 修繕士の誓い
夜空を覆う黒炎の翼が、王都の上空に迫る。
街の灯火が一つ、また一つと呑まれていき、住民たちの悲鳴が響いた。
「来たぞ! 終焉の修繕士だ!」
兵士たちが盾を掲げるが、その顔には恐怖が色濃く浮かんでいた。
「守れ! ここが最後の砦だ!」
城壁の上から指揮官の声が響く。
弓兵たちが矢を番え、魔術師たちが詠唱を始める。
だが女魔導師は嗤い、漆黒の翼を広げただけで矢も魔法も霧散させた。
「虫けらども……抗うほどに愉しい」
地面から闇が溢れ出し、兵の形をした黒き人形が次々と現れる。
その数は数百――闇の軍勢が王都を埋め尽くした。
「リオン殿!」
ルシアが剣を構え、振り返る。
「ここが決戦の場です!」
「ええ。もう逃げられませんね」
セリーヌが震える声で答えつつも、瞳は決意に満ちていた。
ロイが盾を打ち鳴らし、兵士たちへ叫ぶ。
「聞け! 俺たちには“修繕士”がいる! 闇を裂く光を、この目で見ただろう! 恐れるな!」
その言葉に、兵士たちの動揺が少しずつ収まっていった。
僕は前に出て、夜空を仰ぐ。
「……この国を、みんなを、必ず守る」
胸の奥から、力が込み上げる。
修繕の糸が無数に広がり、折れた槍を、砕けた盾を、壊れた城壁を繋いでいく。
「〈修繕〉――繋がれ!」
光が奔り、王都全体を包み込むように広がった。
絶望に沈みかけていた人々の瞳に、再び希望の炎が宿る。
「修繕士リオン……」
女魔導師が紅い瞳で僕を見下ろし、声を低く響かせた。
「貴様こそが終焉を呼ぶ存在だ。だからこそ、ここで葬ろう」
黒炎の翼が大きく羽ばたき、闇の軍勢が一斉に動き出す。
「みんな……!」
僕は叫んだ。
「ここで終わらせるんじゃない! 未来を繋ぐために――戦うんだ!」
アークレアが轟音とともに立ち上がり、闇の巨兵と激突する。
ルシアの剣が光を弾き、ロイの盾が仲間を守る。
セリーヌの魔法が空を裂き、アレンの修繕が僕と共鳴して黒炎を打ち消す。
光と闇がぶつかり合い、王都決戦が幕を開けた。




