第24話 救援の決意 ― 修繕士、故郷へ帰還
国境の砦。
修繕作業に追われていた僕のもとに、一人の斥候が駆け込んできた。
「リオン殿! 報告です! 辺境の村に、不審な影が迫っているとの情報が――!」
心臓が跳ね上がった。
「……村に!?」
砦の喧噪が遠のき、耳の奥で血の音だけが響く。
まさか――予感は当たっていたのだ。
「敵はアルヴェリアの工作部隊と見られます」
斥候の声は冷静だったが、僕の胸は焦燥でいっぱいだった。
あの村は、僕の始まりの場所。
壊れた道具を直して笑顔をもらった場所。
守ると誓った――大切な人々が暮らす場所。
僕は迷わず口を開いた。
「ロイさん! すぐに村へ戻らせてください!」
ロイは険しい顔で僕を見つめた。
「……国境はまだ不安定だ。お前が抜ければ戦線が揺らぐぞ」
「分かってます。でも……僕にとって村は全てなんです。
守れなかったら、何のために修繕を続けてきたのか分からない!」
声が震えていた。
けれどその奥には、揺るぎない決意があった。
しばしの沈黙の後、ロイは小さく息を吐いた。
「……やはりそう言うと思った。ならば俺も行く。勝手に死なれるわけにはいかないからな」
その言葉に胸が熱くなった。
「ありがとうございます……!」
すると背後で、低い機械音が響いた。
「……主、帰還を望むのか」
機神兵アークレアが、ゆっくりと膝をついた。
「はい。僕の村を守りたいんです」
「承認。目的を共有。村の防衛に向かう」
その声は無機質でありながら、不思議と温かかった。
◇ ◇ ◇
翌朝。
王都から派遣された小規模の騎士団を伴い、僕たちは村へ向かうことになった。
砦を離れる馬車の中で、僕は強く拳を握る。
(必ず守る。あの村を……僕の居場所を!)
遠く、朝焼けの空に黒い雲が漂っていた。
それはまるで、村に迫る暗雲そのもののように見えた。




