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追放されたけど、最弱スキル〈修繕〉で辺境スローライフ満喫します  作者: 妙原奇天


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第22話 戦の影 ― 敵国アルヴェリアの動き

 ――アルヴェリア王国、黒鉄の城砦。


 暗く冷たい会議室に、将軍や魔導師たちが集まっていた。

 長い石の卓上には、砕け散った魔導獣兵器の残骸が並べられている。

 煙の匂いがまだ漂うそれを見下ろし、将軍の一人が怒声を上げた。


「馬鹿な! 最新の魔導獣兵器が、一撃で沈められただと!? いったい何者だ!」


「報告によれば……王国が蘇らせた古代機神兵だそうです」

 怯えた声で答えた兵士に、場がどよめいた。


「古代機神兵……!? まさか、千年前の遺物が動いたというのか」


「信じがたいが、確かに砦の兵からの証言でも確認されている。そして……」


 兵士は一枚の羊皮紙を差し出した。

 そこには、戦場で人々が叫んだ名前が記されていた。


『修繕士リオン』


「修繕士……? 聞いたこともない職だ」

「いや、噂では小さな村で壊れた道具を直していた者だという」

「そんな小僧が……我らの兵器を打ち倒したと!?」


 怒りと困惑が入り混じり、将軍たちの声が飛び交う。


 やがて一人の女魔導師が口を開いた。

 白銀の仮面をかぶり、全身を黒衣で覆った異様な存在。

「……面白いではありませんか。修繕士。古代の遺産すら蘇らせる力……」


 その声は甘く響きながらも冷たく、背筋を凍らせるようなものだった。


「ならば我らも、その力を手に入れるまで。方法は二つ――奪うか、堕とすか」


「だがどうやって……」

 将軍の一人が言いかけた時、女魔導師は静かに笑った。


「リオン……という名の若者は、決して王都の生まれではない。辺境の村を拠点としていたそうです」


 その一言で、場が凍りついた。


「……まさか」

「そう、その村を狙えばいい」


 仮面の奥の瞳が赤く光った。

「国境での敗北など些細なこと。修繕士の心を折り、力を我らのものとする……。そのための舞台は、すでに整いつつあります」


 ◇ ◇ ◇


 一方その頃、王国の砦では――。


 勝利の余韻に包まれる兵士たちの中で、僕はひとり胸の奥のざわめきを抑えられずにいた。

(敵は必ず、僕を狙ってくる。……そして、村も)


 ふと遠くの空を見上げる。

 夜の帳の向こう、黒い雲がじわりと広がっていくような気がした。


「……みんな、無事でいてくれ」


 その祈りは、まだ届かない。

 確実に、次なる嵐が迫っていた。

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