第46話準備なう
仕事と勉強を積み重ねるうちに、クリスマスイブの日になった。
俺は、できることは全てやった。
もちろん、クリスマスの料理も、完璧だ。
ダイニングテーブルの上には、前菜からメインまで、赤、緑、白のクリスマスカラーを基調にした料理が並ぶ。
「これで、最後のひと品……っと」
あとは、カップケーキを焼いたら、完成だ。
これに、ホイップ、苺、チョコで、サンタの顔を作ると、かわいくなる。
楽しみだな~。
「篝~!部屋の飾り付け終わったよ~!」
「ありがとう。兄貴」
振り返ると、兄貴が、年季の入ったリビングを、オーナメントとクリスマスツリーで飾り付けしていた。
クリスマスツリーは、不知火家の倉庫に眠っていた年代ものだ。最後出したのが、いつなのか……誰も知らない。
「相変わらず、クオリティ高いな~」
ダイニングテーブルに並ぶのは、ツリーの形のサラダ、スモークサーモンのカナッペ、カプレーゼのピンチョス、そして、ローストチキン。ラザニアも用意した。
やっぱり、料理を作るのは、楽しい。
「喜んでくれたら、いいな」
久しぶりに、優乃さんのモグモグが見られる。それもまた、楽しみだ。
「もう少ししたら、朋美が春川さんを連れてくるってさ」
「……わかった」
楽しみだけど、緊張はする。
どきどき……。
俺、やり残したことないよな。
「ところでさ……なんか、焦げ臭くない?」
「あっ……!ケーキ……!」
慌てて、オーブンを開く。
ふわっと、ほろ苦い香りが鼻を突いた。黒焦げではないけど、表面が少し茶色くなっている。
「これは、失敗かなあ……」
でも、もう作り直す時間も、材料もない。
肝心なところが抜けてるんだよなあ。俺。
「いけるでしょ」
兄貴が、カップケーキをじっと見つめる。
「いや……でも……」
よく見たら、凹んでるし……。
丸くない形もあるし……。
後日、俺がこっそりいただくかなあ。
「大丈夫だって。どうせ、苺のサンタにするんだし」
そういう問題か?
なおさら、不格好になりそうだけど。
「う~ん……」
でも、なすすべがない。
はあ……やらかしたなあ。




