第40話キリッとかっこよく
夜景が見えるおしゃれなバー。
田舎のわずかなビルたちが、輝いて見える。
机も、椅子も、グラスも一級品だ。
もちろん、酒も、つまみも、美味!
「おいしいね~」
目の前には、陽気な優乃さん。
美味だからって、飲み過ぎ!
まあ、それもいいんだけど。
「優乃さん。大丈夫ですか?」
椅子の座り心地も最高だから、寝そうだ。
やれやれ……これは、話どころじゃないかなあ。
「大丈夫、大丈夫~。こう見えて、頭はしっかりしてるから」
本当かなあ。
かなり疑わしいぞ。これは。
「……なら、いいですけど」
かくいう俺は、緊張してる。
だから、飲んでも、飲んだ気がしない。
ゆえに、酔ってない。
「そういう篝くんは、今日はあんまり飲んでないね~」
寝ぼけ眼の優乃さんが、顔を近づける。
心臓の鼓動が速くなる。
ちょっ……! 近すぎるっ……!
でも、負けない。
「今日は、ちゃんと、話したいことがあるんです」
優乃さんをじっと見る。
心臓の鼓動がどんどん速くなる。
落ち着くんだ……俺……。
春から、こつこつと積み上げてきたじゃないか。優乃さんと、幸せになるために。
大丈夫。今の俺なら、できる。
俺は、拳をぎゅっと握り締めた。
「俺は、優乃さんのことが好きです。だから、付き合ってくだ……」
「ごめんね。それは、できない」
「え……!?」
まだ最後まで言ってないのに、断られた。
しかも、キリッとかっこよく。
最初からそう言うと、決めてたみたいに。
俺、何を、失敗したんだろう。
グラスの中で、氷が、カランと音を立てる。
その音が、やけに大きく響いていた。




