第35話一喜一憂
煩悩と戦い、調理器具を持つ。
気づけば、ポテトサラダとコンソメスープまでできていた。
ハンバーグだけの予定だったんだけどな……。
「おお~!」
優乃さんがきらきらした目で、料理を見てる。料理中、ずっと、こんな顔されてたからな~。そりゃあ、バフがかかりまくるわけだ。
「どうぞ……」
小さな机に、料理が並ぶ。2人分だから、ぎゅうぎゅうだ。
いつか、大きな机にも、たくさんの料理を並べてみたい……。そしたら、優乃さん、どんな顔、するんだろ。
「いただきますっ!」
優乃さんが、ハンバーグを頬張る。
焦げてないよな……と今さらながら、思う。
どきどき……。いろんな意味で……。
「おいし~」
余計な心配だった。
クアッカワラビーも驚くスマイル。
かわいいなあ。
「ほんと、幸せそうに食べますよね」
俺も、料理も幸せだ。
こんなに笑顔で食べてもらえるなら。
「だって、幸せだもの。美味しいご飯、食べれて」
キュンキュンする。
う~ん……この笑顔、また見たいな~……。
「また、何か作って、持ってきますよ」
「わあ。ありがとう」
遠慮されることなく、まっすぐに喜ばれた。
よし。この調子で、壁をのけていこう。
「その代わりといってはなんですが、あの……」
また、遊びに行ってもらえますか……。
って、言いたいのに、モゴモゴする。
相変わらず、カッコ悪いな。俺……。
「元気になったら、また、一緒に、飲みに行ってくれる?」
「は、はい……」
我ながら、微妙な答え方だ。
本当は、喜んでるんだぞ。
それは、もう、天に舞い上がるくらい。
「お、お礼したいの。だから……いいかな?」
優乃さんが、慌てて、付け加える。
余計な気を遣わせてしまった。
お礼なんか、なくたって、行くのに。
「もちろん……です……」
優乃さんが、ほっとしたような顔をする。
お互い様なら、いいのにな。
相手の言葉に、一喜一憂してしまうのが。




