しっちゃんが帰る。
一月空いてすみません。
「あれ、しっちゃん帰っちゃうんだっけ」
仕事を終えて、家で晩酌の最中。カレンダーの赤丸を見て、そう言えばしっちゃん帰るんだっけ。と思ったから聞いてみたけど。
「明日ね、何時までもこっちにいるわけにもいかないし。一度帰るわよ」
まさか明日だったなんて。だから一緒に晩酌に付き合ってくれてるわけか。なんて納得もしたんだけど。にしても一度っておかしくない?
「一度?」
「また戻って来るわよ」
「あっちの家どうするの」
「別に私居なくても問題ないわよ。親がいるし」
「そういうもんかー」
「そういうもんよ」
鮭とばが美味しくて、お酒が進む進む。ちなみに日本酒飲んでます。いえーい。持ってきたのはしっちゃんだよ。美羽ちゃんはもう寝ちゃってる。晩酌にまで付き合わせるわけにはいかないしね。それにしっちゃんが私と二人きりになりたくて寝かしつけちゃったし。あの手際の良さは感心したよ。
「あー美味し」
「エト、ちょっと目をつぶってよ」
「ん? いいけど」
「それじゃ、ちょっと待ってね」
カチャンとコップが鳴った瞬間。しっちゃんのキスともに美味しい日本酒が口の中に流れ込んできた。
「んーー」
「ぷっは。どう美味しかった?」
「よくわかんない。でもお酒は美味しい」
急にキスされて驚いたけど。なんだかんだ家で飲んでる時って、しっちゃんにキスされるし。慣れたと言えば慣れちゃったんだけど。正直キスされたからなんだって話なんだよね。
しっちゃんは私を好きにさせるって言ってたけど。なんか親愛的なの以外の恋心が芽生えないというか。
いやーなんでだろうね?
こう色々アプローチはされてるんだけどなんかなーって言うさ。嫌じゃないんだけど、凄く嬉しいかって言うとそんなんでもないし。いやまあ嬉しいけどそこまでじゃないって言う感じなんだけどね。
うん、なんか同じことを言った気がするぞ。
まあだからうん。私はしっちゃんに恋してないんだよね。
「なんとも言えないっていうその表情がそそるわ」
「だーめ。それ以上の接近は禁止」
「いいじゃないボディータッチくらい。明日から少しの間居なくなるんだし」
「少しだけだからねー」
なんだかんだそれでもいいよって言っちゃうんだけどね。嫌じゃないからさ。嫌だったら拒絶するし。だからよくわかんないんだよね。
「んふーエトのかりゃだー」
「お腹こねくり回さないでよ、ちょっと気にしてるんだから」
「幸せ太りってやつー?」
ソファーで飲んでる私の膝の上にやってくるしっちゃん。要は膝枕ってやつね。これはこれでしてる側もなんだかんだ程よい重みでいいんだけどねー。
「いやーうん。そうかも。美羽ちゃんのご飯が美味しくて。お酒も進むし」
「うんどーしなよ。通勤中とかエレベーターとかエスカレーター使わないとかさ」
「時期を考えてよー。もう少しで夏になるってところで。気温上がってるんだよ」
「沢山汗かいていいじゃーん」
「臭くなるからやなのー」
「えー、エトの匂いがいて私は幸せなんだけど」
「おじさん臭いこと言わないでよ」
「エトにだけよー」
「もう、私にだけでもだよ」
「はー、帰るの正直めんどい」
「でも帰るんでしょ?」
「そりゃー親の様子とか気になるから帰るんだけど。面倒なのは美羽の親の方よ。つまりは妹」
「あー……」
それはすごく面倒そう。美羽ちゃんの親事情って複雑だから。美羽の居所知ってるのはしっちゃんだけだから聞きに来るんだね。話すだけで疲れそうな予感。
「だから、エト成分を補充させて―」
「はいはい、お好きにどうぞ」
「ありがとー」
そうしてしっちゃん的にはイチャコラした次の日。しっちゃんは帰っていった。
私的にはこのイチャコラすごくいいと思います。
毎日更新のつもりでした……
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